不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディングとは?

資金調達をする方法としてのクラウドファンディングは、今では、みなさんご存じだと思います。

しかし、クラウドファンディングはそれだけではありません。

不動産投資クラウドファンディング(不動産特定共同事業)を行なう上で、その制度を支えている法律が不動産特定共同事業法です。

法律というと堅苦しく感じますが、理解することで自分に合ったクラウドファンディングを選ぶ判断材料にもなります。

そこでこの記事では、不動産特定共同事業法と、その法律に基づくクラウドファンディングについてわかりやすく解説します。

1. 不動産特定共同事業法とは?

不動産特定共同事業法とは、不動産投資クラウドファンディングを管轄する法律です。

不動産特定共同事業の適正な運営を確保し、事業参加者である投資家の利益保護を図りながら、不動産特定共同事業の健全な発達に貢献することを目的に、1995年4月に施行された法律です。

不動産特定共同事業を行なう上では、国土交通大臣などの許可が必要となります。

不動産特定共同事業とは
「複数の投資家が出資した資金を使って不動産を取得・運用を行い、そこから生じた賃貸収入や売却収益を投資家に分配する」といった事業のことです。

この仕組みが不動産投資クラウドファンディングの基本的な仕組みです。 

2. 不動産特定共同事業法の許可要件

不動産特定共同事業を行なう上で、許可要件を満たさなければ、運営できません。

出典:不動産特定共同事業(FTK)法の概要 国土交通省

主な許可要件

①資本金(出資額)が各事業者に必要な金額を満たしていること

  • 第1号事業者:1億円
  • 第2号事業者:1,000万円
  • 第3号事業者:5,000万円
  • 第4号事業者:1,000万円

②宅地建物取引業者の免許を受けていること

③良好な財産的基礎があり、かつ的確に事業を遂行できる人的構成があること

④ 不動産特定共同事業契約約款の内容が基準を満たすものであること

⑤ 事務所ごとに業務管理者を配置していること

  • 業務管理者とは宅地建物取引主任者であり、次のいずれかに該当する人のことです。
  • 不動産特定共同事業の業務において3年以上の実務経験を有する者
  • 不動産証券化協会認定(ARES)マスター
  • 公認 不動産コンサルティングマスター
  • ビル経営管理士

3. 不動産特定共同事業法の種類

不動産特定共同事業の種類は、不動産特定共同事業法に基づいて

(1)匿名組合型
(2)任意組合型
(3)賃貸型

3つに分類されます。

れぞれの特徴について詳しく解説します。

3-1. 匿名組合型

匿名組合型は、不動産特定共同事業法の中でも最も事業者の数が多い事業です。

匿名組合型の特徴
・コストは1口1万円~が主流
・不動産の所有権は持たない
・確定申告時の項目は「雑所得」

任意組合型とは性質が異なり、会社によっては最低出資額が1口1万円~と低いので、「これから不動産投資クラウドファンディングを始めたい」「少しのお金でも資産運用を始めたい」という方におすすめです。

匿名組合型では、投資家と不動産投資クラウドファンディング事業者が匿名契約を結びます。

この契約によって投資家は匿名組合員となって組合に出資し、クラウドファンディング事業者が不動産の取得・運用・管理を行うことになります。

そして、クラウドファンディング事業者の不動産取引から生まれた利益が投資家に分配されます。

匿名組合型では、投資家は不動産の所有権を持たないことが特徴です。

あくまで「分配金を受けとる権利」を取得するだけで、不動産の所有権そのものは不動産クラウドファンディング事業者にあります。

そのため、不動産取得時の登録免許税や登記費用などもかかりません。

また、匿名組合型の不動産投資クラウドファンディングで得た収益は雑所得に分類されます。

確定申告のときに間違えないようにしてください。

2-2. 任意組合型

任意組合型は、投資家が不動産の持分を取得することが大きな特徴です。

任意組合型の特徴
・コストは1口100万円~が主流
・不動産の所有権をもつ
・相続税対策になる
・確定申告時の項目は「不動産所得」

任意組合型の不動産投資クラウドファンディングに出資する場合、通常の不動産を購入したときと同じように、不動産取得税や登記費用がかかります。

また、「現物不動産の持分」を取得するため、最低出資額も1口100万円以上に設定されているものも多いです。

任意組合型では、投資家は不動産投資クラウドファンディング事業者と任意組合契約を結びます。

この契約では、投資家が取得した持分を任意組合に現物出資する形で、クラウドファンディング事業者による運用が行われます。

不動産は共有不動産となり、登記情報には投資家の名前が掲載されます。そのため、匿名性はありません。

しかし、不動産の運用・管理はクラウドファンディング事業者が行い、そこから生じた利益が投資家に分配されるという点では共通しています。

また、任意組合型では、投資家が持分に応じて所有している不動産の運用・管理を委託して、不動産収益を受け取っているという形になるので、投資家が得た分配金は「不動産所得」に分類されます。

匿名組合型とは所得の取り扱いが異なるので注意してください。

2-3. 賃貸型

賃貸型では、投資家は投資対象不動産の持分を所有した状態です。

賃貸型の特徴
・確定申告時の項目は「不動産所得」

そして、組合に出資するのではなく、持分を不動産クラウドファンディング事業者に賃貸借契約または、賃貸借委任契約を結ぶ形を取ります。

クラウドファンディング事業者は他の型と同じように不動産経営・取引を行って収益を上げ、投資家に分配することは同じです。

自分の持分をクラウドファンディング事業者に貸し出して運用してもらうところから、「賃貸型」と呼ばれています。

賃貸型で得られる収益は、確定申告で不動産所得に分類されます。

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まとめ

不動産特定共同事業法とは、不動産投資クラウドファンディングを行なう上で管轄となる法律です。

また、不動産共同事業は3種類あります。
・匿名組合型
・任意組合型
・賃貸型

自分の目的に合った種類を選びましょう。

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