高齢化が進み、今や「人生100年時代」と言われています。
老後資金や将来への不安を募らせる方、若いうちから資産形成をしなければと考えている人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、コロナショックの影響で株価は暴落し、個人資産へ影響がでた投資家の方はかなりいると思います。
そんな中でも、景気に左右されにくい「不動産投資」は手堅い投資として注目を浴びています。
不動産投資とは、「不労所得」という名の通り、働かずに収入が得られる投資です。
この記事では、不動産投資の概要がわかるよう、基本的な項目について説明していきます。
1.不動産投資とはそもそもどんな投資?
1-1.賃料収入もしくは売却による収入
不動産投資とは、マンションやアパートなどの“不動産”に資金を投資することで利益を生み、安定した収入を得ることができる商品です。
不動産投資での利益の出し方には2種類あります。
・インカムゲイン=家賃収入 ・キャピタルゲイン=物件を売買した時の値上がり益(安い時に買い、高い時に売る) |
1つ目は投資した不動産を賃貸物件として貸し出すことで、借主の賃料から利益を得る「インカムゲイン」です。
2つ目は購入した不動産が値上がりした時に売却することで利益を得る「キャピタルゲイン」です。
最近は主に「インカムゲイン」で利益を得る投資家の方が多く見受けられます。
1980年代のバブル時代には、不動産を安い時に購入して、高く売却する事で短期間で多額の利益を得る「キャピタルゲイン」が主流でした。
しかし最近では、景気に左右されにくい“家賃収入”で安定した利益を得られる「インカムゲイン」が、長期的な資産形成に向いているため人気が高まっています。
1-2.不動産投資以外の投資商品とは何が違うのか?
投資商品 | 利益 | リスク | 運用の手間 |
株・FX | 大 | 高 | あり |
不動産 | 中 | 低~中 | ほぼなし |
個人向け国債 | 小 | 低 | なし |
不動産投資と他の投資商品との違いは主に、
・得られる利益の大きさ
・リスク
・運用の手間
の3つがあげられます。
投資では必ず「リスク」と「リターン(利益)」は比例しており、リスクが小さければ得られる利益も小さく、リスクが大きければ得られる利益も大きくなります。
また、投資商品によって、リスクとリターンの幅は大きく変わってきます。
1-2-1.個人向け国債
個人向け国債は、投資商品の中で極めてリスクが低いです。国が破綻しない限り、元本保証されます。
リスクが低い分、利回りは1%前後と非常に低めです。
1-2-2.株・FX
株やFXは、短期間に大きく利益を生み出せる商品です。
大きく利益を生む反面、大きな損失を抱える可能性もあり「ハイリスク・ハイリターン」といえます。
また、売買するタイミングが重要となるため、常に値動きをチェックする必要があります。
1-2-3.不動産投資
不動産投資は一般的にミドルリスク・ミドルリターンと呼ばれています。
不動産投資では、1-1でお話した「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」の2つの利益の出し方がありました。
キャピタルゲイン(売却益)は、万が一物件が希望価格で売れなかった場合はリスクとなりますが、インカムゲイン(家賃収入)は、空室リスクに気を付ければ、他の投資商品と比較しても低リスクで運用することができます。
また、家賃が定められているため、株価が暴落しても日経平均と比例してすぐに家賃が上がったり下がったりすることがありません。
そのため、株やFXのように常に値動きをチェックをする必要はありません。
不動産投資は景気に左右されにくく、手堅く安定的な収入が見込めます。
1-3.不動産投資をしているのはどんな人が多いのか?
不動産投資を実際にしている人はどのような人か、年齢・性別・年収・職種別にみていきましょう。
健美家「不動産投資に関する意識調査(第6回)」を基に作成
不動産投資と聞くと少し前までは、「資産家がするもの」というハードルが高いイメージがありました。
実際のところ、上記の円グラフを見ると、30代~40代のサラリーマンが圧倒的に多く、最近では若い女性も不動産投資をしている方が増えてきています。
また最近は、少額から資産運用が出来る小口不動産投資(不動産投資クラウドファンディング)を中心に人気があります。
現物不動産を購入したい場合、現金がなくてもローンを活用することができ、年収400万円のサラリーマンが「サラリーマン大家」になることもできます。
2.不動産投資のメリット
2-1.老後の安定した収入源になる
不動産投資の最大のメリットは長期に渡り安定した収入が見込める事です。
家賃収入はその物件が空室にならない限り、会社員の給料のように毎月手元に入ってきます。
本業の収入にプラスして副収入があれば、老後、貯蓄や余裕のある生活が見込めます。
生命保険文化センターによると、2018年度の「2名以上の世帯別消費支出老後にかかる月平均生活費」は、60歳~69歳の平均消費支出額は約30.2万円となっています。
年金支給に加えて、副収入を作っておくと、老後、経済的にゆとりのある生活が可能です。
若いうちに不動産投資を始めておくことで、将来大きな資産形成が出来ることになります。
2-2.保険の代わりになる
不動産は不労所得の役割だけでなく、保険の役割も果たします。
不動産投資のためにローンを組んで不動産を購入した場合、「団体信用保険」に加入する事ができます。
団体信用保険とは? ローンを組んだ債務者が返済期間中に死亡してしまった場合、生命保険会社が残りのローンを完済するという仕組みになっている保険商品のこと。 つまり、万が一債務者が亡くなってしまった場合にも、残された遺族はローン返済の必要はありません。 |
死亡だけではなく、不慮の事故等での高度障害が残った場合も対象になります。
この仕組みによって、残された家族にローン返済の義務が生まれることを防ぐことができ、安心して不動産投資が出来ます。
さらに、不動産自体を家族が引き継ぐことができるため、家賃収入はそのまま家族の手元に入ってきます。
不動産投資をする際に「団体信用保険」に入っていることで家族を守ることが出来る仕組みになっています。
2-3.節税ができる
不動産投資には節税効果もあります。
家賃収入は課税の対象になりますが、不動産運用にかかる様々な諸経費(返済利息・リフォームや修繕費)や、不動産仲介会社や管理会社への手数料などの費用は「経費」として扱われ、収入から差し引いて課税計算が可能です。経費を引いて所得が減った分、税金も減らすことが可能です。
3.不動産投資のデメリット・リスク
3-1.空室リスク
不動産投資で最もリスクとなるのは、空室リスクです。
空室リスクとは、入居者が退去した場合、次の入居者が入居するまでの間は空室となり、家賃収入が入ってこないことを指します。
そのため、空室にならないような物件選びが重要です。
人口の多い都心部・駅近の物件などは需要が高く、万が一退去してしまったとしても、次の入居者がすぐに見つかるため、空室リスクは格段に低くなります。
不動産投資をする際は、需要の高い立地選びを心がけましょう。
3-2.地震や天災による建物損壊リスク
地震や天災による建物損壊リスクがあります。
地震や火災などで建物が損壊・倒壊してしまった場合、家賃収入を生み出す資産が消失してしまいます。
そのため、不動産投資をする際には、火災保険や地震保険に必ず加入し、万が一に備えましょう。
3-3.事件・事故による資産価値下落リスク
事件・事故による資産価値下落リスクがあります。
建物内で事件・事故が発生し、室内で入居者が亡くなってしまった場合、市場では事故物件として扱われてしまうため資産価値は下落します。
室内で亡くなってしまった場合、修繕のため原状回復費用が発生したり、次に募集をかける時に今まで通りの賃料では入居者がつかない場合もあるため、家賃設定を低く下げなければならないというリスクもあります。
不動産投資をする際は、このようなリスクがあることも念頭に置いておきましょう。
4.不動産投資の流れ
4-1.不動産投資の目的と自己資金を明確にする
不動産投資を始める際は、勉強や物件探しよりも先に「不動産投資の目的」と「自己資金」を明確にしておきましょう。
安定的な収入で老後の年金代わりにしたいのか、高利回り物件で資産拡大をしたいのか、目的によって物件の選び方が異なります。
また、不動産投資を始める前に自己資金を明確にしておかないと、気に入った物件と巡り合えたとしても「自己資金やローンの限度額が足りず買えなかった」ということになり、また一から物件を選び直すことになってしまいます。
そのため、不動産投資をする際には、必ず「不動産投資の目的」と「自己資金」を明確にしておきましょう。
4-2.情報収集をする
自分の投資目的と自己資金を明確にしたら、次は情報収集です。
自分に合った物件を見つけるためには、より多くの情報が必要です。
「楽待」などの不動産投資ポータルサイトや、不動産会社に問い合わせをして物件情報のメルマガ配信を活用したり、自分の目的に合う物件の情報を集めます。
また、不動産投資セミナーでは、不動産投資のプロが一から分かりやすく解説してくれます。セミナーの後には、同じセミナーに参加した人と情報交換ができたり、プロに直接自分の悩みを相談することもできます。
初心者の方はまずは、無料で開催されている不動産投資セミナーに参加してみることをおすすめします。歴史が証明する不動産投資セミナー
4-3.不動産会社へ問い合わせる
物件の候補がある程度決まったら、不動産会社に問い合わせましょう。
実際の収支シミュレーションを出してもらったり、見に行ける距離であれば物件を視察しに行ったりしましょう。
4-4.購入申込をする
収支シミュレーションや物件視察を経て、購入の意思確定をしたら、買付申込書を不動産会社に提出しましょう。
買付申込書とは、物件購入の意思表示を示す書類です。
4-5.金融機関へ融資の申込をする
ローンを組んで物件を購入する場合は、金融機関へローンの申込をして審査を受けます。物件を現金で購入する場合は不要です。
不動産会社に必要書類の確認をしながら進めるとよいでしょう。
ここでの審査は契約前の仮審査のようなもので、本審査は売買契約締結後に行われます。
4-6.売買契約を締結する
金融機関の仮審査に通過したら、売買契約締結に進みます。
契約の前に不動産会社から重要事項説明を受けます。その際にこれまで打ち合わせしてきた内容通りか、相違がないかどうかきちんと聞いておきましょう。
現金購入の場合は不要ですが、売買契約書に「融資特約」を入れておきましょう。
融資特約とは、金融機関による本審査が承認されなかった場合、契約を白紙に戻すことができる特約です。
4-7.ローン契約をする
売買契約締結したら、正式に金融機関へ融資の申込をし、本審査を受けます。審査にはおおよそ2週間~1ヵ月程度かかります。
本審査を通過したら、金融機関とローン契約(金銭消費賃借契約)を結びます。
4-8.決済・引き渡し
引き渡しの前に、物件に問題がないかどうか最終確認を行います。
問題がなければ、決済へ進み、売買代金の支払いなどの手続きを行います。
決済後、引き渡しが終わると取引完了となります。
5.不動産投資の初心者で失敗してしまう人の特徴
5-1.利回りだけをみてしまう
不動産投資に失敗してしまう人の中で多いのは、利回りだけをみて購入してしまう人です。
一般的に表示されている利回りは、満室想定で計算された利回りです。そのため、空室になった場合、家賃収入は入ってこないため、利回りは下がります。つまり、利回りが10%と表示されていても、入居者がまったくつかなければ、利回り0%になってしまいます。
利回りだけに着目するのは危険なので注意しましょう。
5-2.収支シミュレーションが甘い
綿密な収支シミュレーションをしなかった場合、不動産投資に失敗してしまう恐れがあります。
支出が毎月どのくらいあるか、退去時はどのくらいの費用がかかるか、内訳や金額など正確に計算しましょう。
長期的にみて、家賃収入に対して支出が多そうであれば、マイナス収支になります。
購入前に収支シミュレーションをしっかりと行いましょう。個人でシミュレーションするのが心配な場合は、不動産会社に問い合わせて相談してみるといいでしょう。
5-3.賃貸管理会社選びに失敗してしまう
賃貸管理会社選びをあまり重要視せず、安易に決めてしまうと思わぬ失敗をしてしまいます。
賃貸管理会社選びも、不動産投資を成功させるための重要なポイントの一つです。
たとえば空室になってしまった際に、入居者募集に積極的ではなかったり、募集が得意でなかったりすると、いつまで経っても空室が埋まらず、家賃収入がゼロになってしまいます。
また、入居者からのクレームやエアコンなどの修理依頼など迅速な対応が求められる場面での対応が遅かったりすると、退去者が発生したりしてしまうこともあるでしょう。
賃貸管理会社を選ぶ際は、入居率を高水準でキープできている会社や、入居者募集に強い会社を選ぶとよいでしょう。
まとめ
不動産投資は株やFXなどの商品に比べて景気に左右されにくく、保険の代わりにもなる投資です。
本業のほかに、安定的な副収入を得たい人に向いています。
不動産投資を検討している方は、一度無料のセミナーに参加して不動産投資の概要をつかんでから、実際に始めるかどうか判断してみましょう。
また、不動産投資で失敗しないために、信頼できる不動産会社の担当と綿密に打ち合わせをしながら進めることをおすすめします。
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