将来への備えとして、給与以外の収入源に不動産投資を考えられている方もいるかもしれません。
不動産投資で安定した副収入を得るためには、「利回り」に注目する方も多いことでしょう。
しかし不動産投資は利回りだけではなく、「実際に本当にその利回りで運用できるのか」が重要です。
そこで今回は不動産投資の「利回り」に着目し、安定した副収入を得るためのコツをお伝えしていきます。
目次
1.不動産投資における利回りとは?利回りの種類とそれぞれの違い
実は不動産投資の利回りには、いくつか種類があり、計算方法も異なります。
それぞれの利回りが何を表しているのかを知ることは、物件選びでは大切なポイントといえるでしょう。
ここでは想定利回り、表面利回り、実質利回りの3つを見ていくことにします。
1-1.想定利回り
想定利回りとは、「物件が満室だった場合」の利回りです。投資物件がマンションのワンルームや戸建の場合、「表面利回り」とも呼ばれます。
想定利回り=満室想定年間家賃収入÷物件価格×100 |
たとえば物件価格が4,000万円で、月額家賃5万円、総戸数6戸の物件では以下のように想定利回りが算出されます。
・想定利回り=(5万円×6戸×12カ月)÷4,000万円×100=9%
つまり上記の物件の想定利回りは、9%であるといえます。
想定利回りは常に満室でフル稼働であることを条件としています。そのため、空室が発生したりすることを考えると、確実にこの利回りが実現できるかは定かではありません。
想定利回りだけを見て物件を決めることは、正しい物件の選び方とはいえないでしょう。
1-2.表面利回り
表面利回りとは、「現在の入居率で年間家賃収入を計算した上での」利回りです。または「物件価格に対する年間収益の割合」のことをいいます。
投資物件がマンションのワンルームや戸建の場合は、1-1で説明した「想定利回り」と同じ計算方法になるので、1-1を参照してください。
以下の計算方法は、投資物件が一棟アパートの時に用いられます。
1-1で説明した物件と同じ条件で表面利回りを計算してみましょう。
物件価格が4,000万円で、月額家賃5万円、総戸数6戸の物件
・現在の入居状況:総戸数6戸のうち1戸空室 ・表面利回り=(5万円×5戸×12カ月)÷4,000万円×100=7.5% |
上記の条件での表面利回りは、7.5%であるといえます。
ただし表面利回りは不動産業者によっては、満室想定で計算されることがあります。
提示された想定利回りが、どのような条件であるのかは必ず確認しておきましょう。
しかしここで一点注意しなければならないことがあります。
不動産投資でマンション・アパートを経営するためには、管理費用や修繕積立金、固定資産税などの必要経費を負担しなければなりません。
そこで必要となってくるのが、それらの経費を加味した実質利回りの算出です。
1-3.実質利回り
実質利回りとは、マンション・アパート経営にかかる「経費などを考慮して計算した利回り」です。
計算式は以下の通りです。
実質利回り=(年間家賃収入-年間必要経費)÷(物件価格+購入時必要経費)×100 |
年間必要経費と購入時必要経費には以下のようなものがあります。
◆年間必要経費
管理費用、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、空室時損失費用、広告費
⇒年間40万円と想定
◆購入時必要経費
登記費用、仲介手数料、印紙代
⇒200万円と想定
これらの経費を加味して、下記の条件で実質利回りを算出すると以下のようになります。
物件価格が4,000万円で、月額家賃5万円、総戸数6戸の物件(6戸のうち1戸空室)
・実質利回り={(5万円×5戸×12カ月)-40万円}÷(4,000万円+200万円)×100≒6.2
年間必要経費と購入時必要経費を加味したことにより、実質利回りとして6.2%という数字が算出されました。
実質利回りは現実的な数字であることは間違いないですが、空室時損失費用や広告費など予測が難しい費用があるのも現状です。
それでも予測が難しいとはいえ、経費を加味した実質利回りがどれくらい期待できるのかは、購入前に確認しておいた方がいいでしょう。
2.不動産投資の利回りの平均相場
不動産投資の利回りは、物件の所在地や物件の種類により異なります。
利回りは高ければよいというわけではなく、まずは平均相場を知ることが重要です。
2-1.都心は4~5%
日本不動産研究所の不動産投資家調査によると、2019年10月現在のワンルームの期待利回りは、城南地区(目黒区、世田谷区)で4.2%、城東地区(墨田区、江東区)で4.5%となっています。
またファミリー向けの物件では、城南地区で4.3%、城東地区で4.5%となっており、物件の種類による利回りの違いはそれほど大きくありません。
引用:日本不動産研究所
実質利回りになると、都心ワンルームの利回りは4%前後になります。
一般的に地価が高い都心では、物件価格が高くなってしまうため、利回りが低くなる傾向にあります。
特に近年はオリンピック開催前の影響もあり、都心の不動産価格は上昇しています。
しかし都心であることは、人口が多く一定の需要が見込めるため、「空室リスク」が低いことが考えられるのです。
2-2.地方になると4~6%
一方地方になると、地価が安く物件価格も抑えられることから、都心に比べ期待利回りは上昇します。
2019年10月現在のワンルームの期待利回りは、札幌・仙台で5.5%、千葉で5.3%、埼玉で5.2%、名古屋で5.0%、大阪で4.9%、福岡で5.1%です。
また上記のような大都市ではなく、いわゆる地方都市といわれる場所では7~10%の利回りが期待できる地域もあります。
ただし地方で物件を保有するということは、人口が都心に比べて少なく、「空室リスク」が上昇する可能性があります。
また都心に比べ、広告費が高くかかる傾向があります。人口が多い首都圏は、広告費をそれほどかけずに入居者を集まることができますが、人口が少ない地方では高額になることもあります。
そうすると収支が合わず、当初期待していた利回りより大幅に下がってしまう可能性もあります。
常に満室経営ができることが理想ですが、人口減少が都心に比べ進んでいる地方は、空室リスクが高いといえるでしょう。
2-3.理想的な利回りは実質利回りで4%前後
物件が新築か中古により利回りは異なりますが、新築で2~3%、中古で4~5%くらいが理想です。
不動産投資初心者の方は、都心の中古物件で手堅い利回りを実現できるようしましょう。
新築物件には新築プレミアムにより、内装や設備の自由度が高いことや、入居者がつきやすいなどの付加価値がつきます。
しかし一方で新築物件は、一度誰かが所有すると、その瞬間に価値が大きく下がってしまいます。
このことを新築プレミアムといいます。
たとえば5,000万円の新築物件を購入したとしましょう。
仮にこの物件をすぐに売却したとしても、市場では中古物件として扱われるため、売却額が4,000~4,500万円といったように新築時の価格より落ちます。
この差額500~1,000万円が新築プレミアムといいます。
中古物件でも都心の好立地にある物件であれば、入居に対するニーズは高いため、空室リスクも抑えられることでしょう。
2-4.最低ラインは実質利回り3%
実質利回りの最低ラインとして、少なくとも3%が見込める物件を探すといいでしょう。
不動産投資は多くの場合、長期でローンを組むことが多く、物件を保有しながらローンの返済を行わなければなりません。
いくら借り入れるか、毎月いくら返済をするかによりますが、一定以上の利回りが必要です。
さらに物件を保有するにはローンの返済の他、管理費や修繕積立金といった維持費が発生します。
このように不動産投資には、様々なランニングコストが発生するため、事前にしっかりシミュレーションを行った上、最低利回りの計算をしておくことが大切です。
3.シミュレーション例
それでは具体的に3つのパターンで物件を購入し、運用した場合のシミュレーションをしていきましょう。
※実際の返済額・収支額は諸条件によって異なります。目安としてご覧ください。
3-1.都心中古マンション、頭金10万円の場合
◆前提条件
・物件所在地:東京都港区
・築年数:築23年
・物件価格:2,400万円
・満室時想定収入:114万円(月額家賃収入:9.5万円)
・想定空室率:3%
・諸経費率:10%
・ローン借入金額:2,300万円
・借入期間:35年
・借入金利:年利1.7%
〇年間手取り収入:236,869円
〇表面利回り:4.8%
〇実質利回り:4.8%
実質利回りは想定空室や諸経費を差し引いて出された利回りなので、利回りを見るときは実質利回りを見るのが手堅いでしょう。 |
3-2.地方中古マンション、頭金100万円の場合
◆前提条件
・物件所在地:愛知県名古屋市
・築年数:12年
・物件価格:1,300万円
・満室時想定収入:63.6万円(月額家賃収入:5.3万円)
・想定空室率:10%
・諸経費率:10%
・ローン借入金額:1,200万円
・借入期間:35年
・借入金利:年利1.7%
〇年間手取り収入:53,641円
〇表面利回り:4.9%
〇実質利回り:4.0%
実質利回りは想定空室や諸経費を差し引いて出された利回りなので、利回りを見るときは実質利回りを見るのが手堅いでしょう。 |
3-3.都心新築マンション、頭金500万円の場合
◆前提条件
・物件所在地:東京都文京区
・築年数:新築
・物件価格:4,300万円
・満室時想定収入:156万円(月額家賃収入:13万円)
・想定空室率:2%
・諸経費率:5%
・ローン借入金額:3,800万円
・借入期間:35年
・借入金利:年利1.7%
〇年間手取り収入:220,908円
〇表面利回り:3.7%
〇実質利回り:3.4%
実質利回りは想定空室や諸経費を差し引いて出された利回りなので、利回りを見るときは実質利回りを見るのが手堅いでしょう。 |
4.理想的な利回りを実現する物件を選ぶポイント3選
理想的な利回りを実現するためには、大きく3つのポイントがあります。
いずれのポイントも「提示されている利回りだけを見ない」ということがいえます。
以下で詳しく見ていきましょう。
4-1.利回りだけ見るのは危険。「需要のある立地と入居率」
利回りも重要ですが、それと同じくらい重要なのは「立地」と「入居率」です。
入居率は立地に比例することが多くあり、立地が良ければ入居率が高くなる傾向にあります。
たとえば駅から徒歩5分の物件と、20分の物件では前者の物件の方が入居率が高くなります。
入居者からすれば、なるべく駅から近い物件を望むことが多いでしょう。
また駅から徒歩5分の物件と徒歩20分の物件では、ライバルとなる物件の数が異なります。
駅から徒歩5分の物件とは、その駅から5分の範囲で歩ける物件です。
ところが徒歩20分の物件では範囲が広がり、ライバルとなる物件の数が多くなります。
徒歩20分の物件は、徒歩5分の物件や徒歩10分の物件も全て含まれているのです。
また同時に物件の入居率も確認する必要があります。
なぜならば空室リスクを抑えるためには、入居率が高い物件を選ぶ必要があり、高い入居率を実現できればマンション・アパート経営で安定した収益を期待できるからです。
たとえば入居率の高い物件の特徴として、以下のようなものが挙げられます。
・駅から近いなど立地条件がよい
・築年数が新しい
・外観がきれい
・オートロックなど防犯対策がしっかりしている
上記のような項目を満たした物件は、入居者からの満足度も高く、仮に近くに新しい物件ができたとしても、すぐに入居率に影響する可能性は低いといえます。
また満足度の高い物件は、入居者が長く住むことが考えられるため、退出した場合に発生する広告費なども抑えることができるでしょう。
4-2.利回りの妥当なラインを知る
物件を探す上で重要なポイントは、目を付けている物件と近い条件の物件の利回りを確認することです。
たとえば物件所在地が近く、周辺環境などの条件が近い物件の利回りを見てみましょう。
近くに似たような条件がなければ、隣駅の物件などを見てみるのもいいでしょう。
ここで自分が目を付けた物件の利回りが「極端に高い」または、「低い」のであれば何か原因があるはずです。
自分が保有しようとしている物件の妥当な利回りのラインを知ることは、今後のアパート・マンション経営においてとても重要なポイントといえるでしょう。
4-3.高利回り物件は、需要がある場所かよく確認する
利回りが高い物件は魅力的ですが、物件所在地が需要のある場所かどうかは確認しましょう。
そもそも周辺に賃貸物件が少ない場合は、賃貸需要が低いことが考えられます。
そのような地域は戸建てを軸に物件を探していく方がいいかもしれません。
他にもスーパーや郵便局、市役所、銀行、ファミリータイプの物件では学校や公園が近いことなど生活基盤が整っている地域にある物件は需要が高いことが考えられます。
また最近ではハザードマップで、災害危険エリアに指定されていないかも確認しましょう。
近年、台風などの大規模自然災害により、災害に弱い地域は避けられる傾向にあります。
土地勘がない場所で物件を探すのであれば、上記に挙げたような項目をしっかりと確認し、入居率を維持できる物件を探しましょう。
5.不動産投資を始める前に相談するのにおすすめの会社3選
不動産投資を始めるには、不動産会社を介して物件を探すことがほとんどですが、各社の評判は気になるところです。
ここではおすすめの不動産会社を3社ピックアップし、紹介していくことにします。
5-1.年間取引件数900件以上!仕入れ専門パートナーズ
2011年創業の株式会社パートナーズは、仕入れ専門の不動産会社として、現在では年間900件以上の取引実績があり、8期連続増収増益と財務状況は絶好調です。
不動産投資セミナーを積極的に開催しており、「プロの目利き、考え方」を理解することができ、無料で参加可能です。
パートナーズの強みは「資産価値の高い物件のみ」を販売し、確実に家賃収入が得られるようにサポートしてくれる点です。
紹介してもらえる物件は、都心の限られた地域で駅から徒歩5分圏内の中古ワンルーム物件のみを紹介してもらえます。
また売却希望者から「直接仕入れ」「中間マージンを省いた適正価格」で物件を提供することも大事にしています。
パートナーズはベンチャー企業ですが、ここまでの実績が積み上げられているのは、信頼を得られている結果といえます。
人当たりがよく丁寧かつ迅速な対応ができるスタッフが揃っており、一人一人への手厚いフォローがあるのが特徴です。
不動産投資が初めてで、まずはワンルーム物件から始めようと考えられている方にはピッタリの不動産会社といえるでしょう。
気になる方は、コーポレートサイトを見てみるとよいでしょう。
5-2.一棟不動産に特化したソリッド
2001年創業のソリッド株式会社は、豊富な情報量をもとに一棟不動産に特化した、不動産会社です。
一棟不動産に特化していることもあり、仲介会社から情報が集まりやすく、自社で直接買い取りを行うことで、一般に出回りにくいコアな物件情報まで取り揃えています。
一棟不動産でも、比較的収益が期待できる一都三県の物件に限定し、効率的で効果的な提案をしてくれます。
また不動産投資は買って終わりではないため、購入してからの管理運営サポートにも力を入れています。
満室経営を目指す上での経営方針などの相談を、専門家が随時対応してくれるサポートも魅力です。
一棟で不動産を保有することを想定しているが、管理などに自信がない方にとっては同社のサポートは心強いものとなるでしょう。
5-3.東証一部上場!プロパティエージェント
東証一部上場企業であるプロパティエージェント株式会社は、2018年6月実績で入居率99.69%という安定運用実績を誇る不動産会社です。
また無料セミナーも随時開催していることや、不動産情報を発信するために自社メディアの運営も行っています。
同社の強みは、東証一部上場企業である社会的信頼感があることや圧倒的な顧客満足度、入居率が高い物件を紹介するなどが挙げられます。
特に物件は東京23区と横浜エリアに集中し、高い収益率を見込める物件の紹介をしてもらえることも特徴です。
様々な不動産会社がある中で、まずは安心して付き合える不動産会社を選ぶのであれば、同社は魅力的といえるでしょう。
まとめ
不動産投資を行う上でまず気になることが利回りですが、利回りだけ見ていると思わぬ落とし穴に陥ることもあります。
特に実質利回りを見てシミュレーションを行い、しっかり計画をたてて不動産投資を行いましょう。
また土地勘がない場所では入念な下調べを行い、周辺環境がどのような状況であるかも、今後の収益にも関わってきます。
利回りも大事ですが、入居者目線で物件を見つけられることも不動産投資で成功する秘訣といえるでしょう。
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