「お金に働いてもらう……」とは、一見するとなんだかよく理解できないですよね。
しかし、賢く資産を増やしている人はみな自分で働く「労働収入」に加え、”お金にも働いてもらっている”んです。
「長期的に利回りを積み上げて、お金に働いてもらうノウハウとは?」その視点や考え方の原則、そして「お金に働いてもらう」を実践する初心者向けの投資について解説します。
目次
1.初心者にまず知ってもらいたい「お金に働いてもらう」とは
「お金に働いてもらう」とは、ズバリ、投資の利回りによる運用益でお金を稼ぐということ。
自分であくせくと働くわけではなく、自動でお金を増やす投資活動を指します。これが記事でいう「お金に働いてもらう」という考え方です。
労働をせずしてお金を稼ぐことを「不労所得」※ともいいます。このように不労所得を作り、お金に働いてもらうことがなぜ必要なのでしょうか? 人それぞれだと思いますが、主な理由はこんなところだと思います。
- 仕事ばかりの生活から抜け出したいから
- 賢い資産運用を行ないたいから
- 老後は年金だけに頼りたくないから
- まとまったお金が貯金できたから など
理由は千差万別ですが、長期的な見通しで考えるなら、早いうちにお金に働いてもらうのがおトクです。なぜなら、投資には複利で増えていくものがあるからです。複利とは、最初の元本と増えた利息を足した額に金利がついていく方式のことです。
つまり、早めに投資すれば元本に金利が上乗せされた金額に利息がかかり、年々、お金の増え幅が大きくなるということなんです。
【 コラム:不労所得とは?】 また、ミュージシャンが制作した楽曲にかかる著作権使用料(印税)も不労所得です。意外に知られていませんが、「年金・恩給」や今話題でもある「ベーシックインカム」、「●●手当と呼ばれるもの」「雇用保険や失業保険」なども広義には不労所得に含まれます。 |
2.初心者が「お金に働いてもらう」ためにはどのような視点を持つべきか
「お金に働いてもらう」ためには、まず以下の視点を普段から身につけるようにすると良いでしょう。
2.お金の機会損失を考える
3.投資は長期的視点で考える
将来的に「資産家」に辿りつかない人は、お金を「美味しい食事」や「欲しいもの」、女性であれば「高級エステや美容グッズ」を手に入れたいなど、そういった願望があり、お金に働いてもらいたいと思っています。しかしそれでは、働けど働けど、いっこうにお金はストック(貯金)されていきません。
「お金に働いてもらう」を実践していくうえで、フローとストックという考え方は外せないキーワードです。どういう事かというと、「年収の大小でお金持ちかを考える」のではなく、「資産額に重きを置いて資産運用をしましょう!」という考え方です。
会計の分野で使われるフローとストックですが、フローというのは「流れていくお金」、ストックというのが「蓄積されるお金」を意味しています。
一般的には、お金持ちというと「年収」を基準に考えがちですが、たとえ年収1,000万円だったとしても日々の支出が大きければ、いつまで経ってもお金は貯まりませんよね。しかし、ストック……つまり貯金が多くあると何かあった時の備えになるだけでなく、貯金の中から投資資金を切り分け、株式や不動産投資に注ぎ込むことができるのです。
ここで、「お金に働いてもらう」という考えが効いてきます。ストックしていたお金を投資にまわすことで、金利の運用益でどんどんお金が増えていく……。こうして、生活の支出額を運用益でまかなえるようになれば、将来は働かずとも生活し続けることができます。これが、将来お金に働いてもらうために重要な視点です。
3.「お金に働いてもらっている人」が必ず守っている3原則
「お金に働いてもらっている人」の視点を抑えたうえで、より深掘っていくとお金を働かすことが得意な人は、以下の3原則を守っている傾向にあります。
2.貯金は投資にまわす
3.絶対に借金をしない
上記に共通する目的は、ストックを増やしお金を投資にまわすためです。
こうして説明をすれば、至極当然なのですが、毎月の収入よりも支出が多くなってしまうと貯金をすることは永遠にできません。
そして、少額からでも未来に向けて投資をすることをおすすめします。投資商品が複利で運用益が増えていく場合、早めに投資していればいるほど雪だるま式にお金は増えていくので、投資は早いほうがお得なのです。
4.お金に働いてもらう第一歩として初心者におすすめする投資5選
では、実際に初心者が投資をいざはじめるとしたら、どのような投資がおすすめなのでしょうか。初心者の皆さんからすると「投資」と聞くと、なんだか怪しい!騙されるのではないか!と不安で一歩を踏み出せない方も多いことでしょう。ここでは、初心者におすすめのリスク低めの投資をご紹介します。
4-1. 国債
リターン | リスク | 特徴 | こんな人におすすめ |
★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | 貸し倒れリスクは極めて低いが、運用益もほとんど出ない。 | 初心者で、ちょっとでも何か資産運用を始めてみたいという方向け |
国債とは国が発行する債券のことで、証券会社や銀行で購入することができます。国債の発行元は国なので、日本および日本銀行が破綻しない限り、貸し倒れのリスクはありません。日本においては心配する必要はないでしょう。
個人が買える個人向け国債には「変動型」と「固定型」があり、財務省のHPに記載されている表面利率は0.05%です。銀行預金の利息よりは高いですが、利息はかなり低いので運用益はあまり期待できないです。
ただ、リスクも極めて低いのでとりあえずちょっとずつでも「お金に働いてもらいたい」という人に向いています。
4-2. iDeCo
リターン | リスク | 特徴 | こんな人におすすめ |
★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | 掛金を自分で設定し積み立てることで公的年金のように60歳以降に受け取ることができる | ・老後の生活に向けて今のうちから備えておきたい方向け |
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」と呼ばれ、自分で掛金を設定し積み立てて運用し60歳以降に受け取れる投資です。公的年金に加え、自分で老後のために積み立てることができる年金と考えてよいでしょう。
iDeCoは掛金が全額所得控除になったり、運用益が非課税になったりと節税の面でおトクです。ただし、原則として60歳以降でないと受け取ることができないので、いざお金が必要!という時に引き落とせないのがやや難点でしょう。
4-3. NISA
リターン | リスク | 特徴 | こんな人におすすめ |
★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | 毎年120万円分の非課税投資枠がもうけられており、投資で得た運用益や配当に税金がかからない。 | 節税をしながら少額で株式などの投資を始めたい方向け |
NISAは個人投資家のための税制優遇制度として導入された投資です。本来、株式や投資信託で得た運用益や配当には約20%の税金がかかります。
しかし、NISAでは毎年120万円分の非課税投資枠が設けられ、株式や投資信託で得た運用益や配当には税金がかかりません。iDeCoとの違いは、原則60歳まで引き落とせないiDeCoと違い、NISAは原則いつでも運用益や配当を得ることができる点にあります。
※参考:金融庁「NISAとは?」
4-4. つみたてNISA
リターン | リスク | 特徴 | こんな人におすすめ |
★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | 長期的な積立や分散投資に適した投資であり、NISAと同じく非課税。年間40万円まで購入できる。 | 節税をしながら、長期的な視点で積立や分散投資を始めたい方向け |
つみたてNISAは、NISAよりも長期的な積立や分散投資を希望する方にフィットする投資です。こちらもNISAと同じく非課税制度が導入されています。年間40万円までが購入できる額の上限であり、購入できる投資商品は長期の積立・分散投資に適した一部の投資信託に限られているのが特徴です。
※参考元:金融庁「NISAとは?」
4-5. 不動産投資クラウドファンディング
リターン | リスク | 特徴 | こんな人におすすめ |
★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | 不動産投資(取得・運用・管理)を投資家の代わりに運用会社が行なう。利回りは、4~6%ほど。 | ・1万円という少額から始めたいという方向け |
不動産投資クラウドファンディングとは、実物不動産投資とは大きく異なり、本来であればかなりまとまった資金が必要な不動産投資を、少額からスマホやPCではじめられる投資です。不動産のプロである運用会社が投資希望者からお金を集め、投資家の代わりに不動産を取得・運用・管理します。
不動産投資クラウドファンディングを手がける「PARTNERS Funding」のHPによると、想定利回り(年利)は8.0%と報告されています。初心者がはじめやすい投資の中では、リターンが大きめであることが特徴です。
また、不動産クラウドファンディングには「優先劣後構造」という仕組みがあります。これは、仮に運用で損出が発生した場合でも、損出の負担は運用会社の出資額から先にまかなわれるという仕組みのことです。優先劣後ついて詳しく理解したい方はこちらの記事を参考にしてみてださい。
投資初心者でも分かる!優先劣後とは?図解説付き【保存版】
まとめ
この記事で抑えておきたいポイントは、以下の4点です。
・お金に困らないようになるには、フロー型の収入ではなく、ストック型の資産を増やす視点が重要
・「支出は稼ぎより少なくする」「貯金は投資にまわす」「絶対に借金しない」の3原則を守る
・投資初心者におすすめなのは「国債」「iDeCO」「NISA」「つみたてNISA」「不動産投資クラウドファンディング」
投資による運用益を大きくするには、短期的な視点ではなく、長期でじっくり運用していく視点が重要です。毎月、収入を得たらつい使い切ってしまいたい!と思う気持ちはわかりますが、少しずつでも投資にまわし、運用益を積み立てていくことが、数年後、数十年後のあなたの家計を支えます。記事が少しでもお役にたち、投資に前向きになっていただければ嬉しいです。
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