企画の実現や製品開発の「資金調達手法」としてのクラウドファンディングはあなたもご存知かと思います。
その一方で、「投資型」と呼ばれるクラウドファンディングがあることはご存知でしょうか?
2014年5月に金融商品取引法が改正されたことで登場した、資産運用できるクラウドファンディングです。
そして、投資型の中にも複数の種類に分かれます。
そこでこの記事では、投資型クラウドファンディングの種類とそれぞれの特徴についてわかりやすく解説します。
これから投資を始めたいという方はぜひお読みください。
目次
1.そもそも投資型クラウドファンディングとは
投資型クラウドファンディングとは、クラウドファンディングの仕組みを使って資産運用することです。
クラウドファンディングでは通常、出資した金額に応じて様々なリターンがもらえます。開発した製品そのものや、寄付先からの活動報告レポートなどです。
しかし、投資型クラウドファンディングでは、出資したことのリターンは「お金」という点が大きな特徴です。
そして、通常の投資と同じく、クラウドファンディングでも絶対に投資家が収益を上げられるわけではありません。出資した金額未満になってしまうリスクもあるので注意してください。
投資型クラウドファンディングは、一般的な投資に比べて必要金額が少なく、始めやすいということもメリットです。
2.投資型クラウドファンディングは大きく4種類に分類される
投資型クラウドファンディングはクラウドファンディングの中の1つですが、さらにその中で4種類に分類されます。
それらは、
(1)融資型クラウドファンディング
(2)株式投資型クラウドファンディング
(3)ファンド型クラウドファンディング
(4)不動産投資型クラウドファンディング
です。
それぞれについて詳しく解説していきます。
また、各特徴からどの手法が自分に合っているかがわかるフローチャートを用意しました。
なんとなくこれから取り組みたい手法が見つかれば、その手法のところを直接確認してください。
2-1. 融資型クラウドファンディング(別名ソーシャルレンディング)
融資型クラウドファンディングは、複数の投資家から集めた資金をクラウドファンディング業者が企業に貸し付ける仕組みです。
融資を受けた企業は当然、利息をつけて返済します。そして、利息から手数料を引いた残りが投資家に分配されます。この分配された金額が投資家にとっての利益です。
融資型クラウドファンディングはソーシャルレンディングとも呼ばれます。
2-1-1.特徴
融資型クラウドファンディングの特徴は、通常の融資と比べて利息が高く設定されているため、利回りが定期預金や債権投資するよりも高いことです。
ただし、借り手が返済不能となった場合、投資家には出資した金額の一部あるいは全額が返済されなくなり、損失を出すリスクがあります。
また、融資型クラウドファンディングでは、融資先が開示されていません。
2019年3月、金融庁からの法改正により、借り手企業の匿名化が解除され、情報の透明性の向上を図っていますが、すべての案件で借りて企業などの情報が開示されているわけではありません。
ソーシャルレンディング業者は貸し付ける前にしっかりと返済可能か審査はします。
ですが、投資家側ではその企業の情報がわからないので、リスクを自分で正確に調べることができません。
そして、融資型クラウドファンディングの中には不動産に特化した不動産ソーシャルレンディングと分類される事業者もあります。
不動産投資型クラウドファンディングと似ていますが、利益の考え方が異なります。
不動産ソーシャルレンディングは、あくまでも「融資」なので、返済に追加される利息が投資家にとっての利益です。
不動産投資型クラウドファンディングでは、出資した不動産の賃料収入や売却益などの利益から分配される配当が、投資家にとっての利益になります。
2-1-2.こんな人におすすめ
融資型クラウドファンディングは出資したあとに自分で運用する必要がありません。
満期になるまで分配金を受け取りながら元本償還されるのを待つだけです。
そのため、
・預金や国債よりも高い金利で、安定した運用を期待できるところに投資したい
・株式投資やFXのように、値動きに合わせて自分で運用する時間がない
・シンプルな仕組みの資産運用から始めたい
という人におすすめします。
2-2.株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングは、ファンドを通して非上場企業の株式を取得できる仕組みです。
一般的な株式投資は上場企業に限られていましたが、2015年に施行された金融商品取引法の改正により、制度として認められました。
株式投資型クラウドファンディングを行う事業者は、金融商品取引業者として登録を受けている必要があります。登録企業については、日本証券業協会のホームページでも公開されています。
違法業者を通して投資しないよう、株式投資型クラウドファンディングを始めるときには、登録企業かどうかを確認することが大切です。
2-2-1.特徴
株式投資型クラウドファンディングの特徴は、ハイリスク・ハイリターンなところです。
非上場企業に投資できるので、上場時にはIPOで大きな売却益を狙えます。
その一方で、元本がゼロになる可能性も、通常の投資に比べて高いです。
また、1社に対する年間投資上限額が50万円と定められていることも特徴です。
2-2-2.非上場企業を応援したい人におすすめ
株式投資型クラウドファンディングでは、創業間もないベンチャー企業やAI、ロボット、バイオテクノロジーなど先端技術の活用を目指す企業へ投資できます。
しかし、倒産リスクも上場企業に比べて高いことから
・利益第一ではなく、その企業を応援したいと思える人
・「エンジェル投資」をしたい人
・上場時の大きな売却益を狙いたい人
におすすめです。
2-3.ファンド投資型クラウドファンディング(事業投資型)
ファンド投資型クラウドファンディングは、特定の事業(プロジェクト)に対して複数人が出資する仕組みです。
出資したプロジェクトの売上に応じた分配金が得られます。
また、特典として出資した事業の商品やサービスを受け取れる場合があります。
2-3-1.特徴
ファンド投資型クラウドファンディングは、特定に事業・プロジェクトに対して投資することが大きな特徴です。
一般的な投資は「企業単位」であることと比べると大きく異なります。募集ページでは出資したお金の具体的な使いみちも記載されています。
そのため、そのプロジェクトに関わっている感覚が通常の投資よりも強いです。
また、分配金だけでなく出資したプロジェクトの製品やサービスを特典として受け取れることがあることも特徴です。
そして、記載されている分配金はプロジェクトが計画通りに進み、売上を達成できたときに配られる金額になります。
売上未達となれば元本割れし、反対に、大幅達成すれば大きな利回りとなります。
この点でリスクが高いですが、製品しかもらえない購入型や決まった利息からの分配金しか得られない融資型にはない魅力です。
2-3-2.利回りも欲しいけど、プロジェクトそのものを応援したい人におすすめ
ファンド投資型クラウドファンディングでは、事業の売上に基づいた分配金を得られます。
あなたが出資した事業が計画以上に伸びれば大きな利回りとなりますが、実際には、元本割れしている事業も多いです。
そのため、エンジェル投資というほどではないですが、リスクは融資型に比べて高いです。
そのため、
・利回りも欲しいけれど、プロジェクトそのものを応援したい人
・元本割れしても経済上問題ない人
・プロジェクトの製品・サービスに魅力を感じている人
に向いている投資型クラウドファンディングです。
2-4.不動産投資クラウドファンディング
不動産投資クラウドファンディングは、複数の投資家から集めた資金を不動産に投資し、運用することで得た利益が分配される仕組みです。
通常、不動産投資は1つの物件に1人の投資家が出資して運用しますが、複数人が資金を出し合って取得します。
不動産投資クラウドファンディングは任意組合型と匿名組合型の大きく2つに分かれますが、不動産の管理・運用はファンドが行う点は共通です。
2-4-1.特徴
不動産投資クラウドファンディングの特徴は出資対象が不動産であることです。
そして、1つの不動産に複数人で出資している点が一般的な不動産投資とは異なります。(匿名組合型の場合)
また、出資後、不動産経営は専門業者が行うので手間がかかりません。投資家は不動産経営から出た利益が配分されるのを待つだけです。
内容は不動産投資と変わらないので、少額からミドルリターンを狙えます。
他の投資型と同様に元本割れするリスクはあります。
しかし、そのリスクを限りなく低くする「優先劣後構造」が採用されているところが多いです。
各不動産投資のプロジェクトでは、投資家は優先出資、事業者は劣後出資として参加します。
そして、不動産経営で損失が出たときには、劣後出資分から損失を負担し、そこで負いきれなかった損失を優先出資分が負担するという仕組みです。
つまり、プロジェクトで損失が出たとしても、最初に劣後出資しているクラウドファンディング事業者が損失を被ることになり、投資家が損するのはその後になります。
事業者としても損失を出したくはないので、必死に管理・運用を行います。
そのため、元本割れのリスクがあっても、そのリスクは他のクラウドファンディング投資に比べて低く抑えられています。
2-4-2.手軽に不動産投資を始めたい人におすすめ
不動産投資クラウドファンディングは会社によっては1万円という少額から始められます。
管理・運用の手間もかからず、リスクが低く抑えられていることから、
・将来的に不動産投資に取り組みたい人
・手軽に不動産投資を始めたい人
・ローリスク・ミドルリターンを狙いたい人
・個人で資産運用するには時間がない人
におすすめです。
3.クラウドファンディングを進めていくうえで知っておくべき法律
ほとんどの投資型クラウドファンディングでは、金融商品の1つとして、株式投資やFXと同じように「金融商品取引法」が適用されます。
また、不動産投資クラウドファンディングでは、「不動産特定共同事業法」という法律が適用されます。
これらの法律は、主に、投資家を保護するために事業主を規制するものです。
そのため、全てを把握しておく必要はありませんが、どのような法律か、概要を知っておけば、万が一のトラブルになったときも安心です。
3-1.【融資型・株式投資型・ファンド型】金融商品取引法
融資型・株式投資型・ファンド型クラウドファンディングは金融商品取引法の適用を受けます。
この法律は、公正な取引と投資家の保護が目的です。
この法律によって、株式投資型クラウドファンディング事業者は第一種金融商品取引業者、融資型・ファンド型のクラウドファンディング事業者は第二種金融商品取引業者の登録が必要です。
登録しているかどうかの確認は金融庁ホームページで確認できます。
登録には一定の条件を満たしている必要があるので、クラウドファンディングに取り組む前に、登録事業者であることを確認してください。
3-2.【不動産投資型】不動産特定共同事業法
不動産特定共同事業法は、不動産投資型クラウドファンディングが適切に行われるようどのような業務管理体制を整備すべきかなどが示されています。
これは、契約の締結や不動産運営が適切に行われ、投資家の利益を保護することが目的です。
そして、不動産特定共同事業法は、不動産クラウドファンディングの種類によって2つに分かれます。
(1)任意組合型
(2)匿名組合型
それぞれの仕組みや特徴を解説します。
3-2-1.任意組合型(主な事業者:ボルテックス・アセットシェアリング)
任意組合型は、投資家と事業者が任意組合契約を結び、投資家が出資して共同事業を運営します。
この場合、投資家は不動産の共有持分を取得し、その持分を組合に出資する形を取ることが特徴です。
投資家が不動産を所有することになるので、登記も行います。そのため、通常の不動産を取得したときと同じように不動産取得税や登記費用がかかります。
1口100万円以上のものが多く、不動産投資と考えれば少ないですが、一般的なクラウドファンディング投資に比べると初期費用は高額です。
また、任意組合型で得た分配金は確定申告では不動産所得に該当します。
3-2-2.匿名組合型(主な事業者:クリアル・パートナーズファンディング)
匿名組合型は、投資家と事業者が匿名組合契約を結びます。
投資家が組合に金銭を出資する点で、任意組合型とは異なります。
事業者は、出資された資金を使って不動産を取得・運営し、不動産の所有権は事業者にあります。そのため、投資家に不動産取得税や登記費用はかかりません。登記情報に名前が載らず、誰が出資者か外からはわからないことから「匿名型」とよばれます。
1口数万円から10万円程度で出資でき、運用期間も半年や1年と短い商品が多いことも特徴です。
匿名組合型で得た分配金は雑所得に該当するので確定申告のときには注意してください。
まとめ
クラウドファンディング投資は、融資型・株式投資型・ファンド投資型・不動産投資型の4種類に分かれます。
その中でも、株式投資型は元本がゼロになるリスクがある一方で、新規株式公開(IPO)のタイミングで大きな利益を得られる可能性があります。
対して、ローリスク・ミドルリターンで安定した資産運用を望むのであれば不動産投資型がおすすめです。
優先劣後構造が採用されていて、リスクが限りなく低く抑えられているからです。
この記事を参考に、あなたに合ったクラウドファンディング投資を始めてみてください。
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