個人でも、銀行などの融資を使わずに、資金調達をすることはできるのか?とあなたは思っていませんか?
ここ数年で資金調達のツールとして、クラウドファンディングが根付いてきたと思います。
結論、クラウドファンディングを利用すれば、個人でも資金調達をすることは可能です。
クラウドファンディングは、オンライン上で幅広く支援者に呼びかけて資金調達することができるからです。
個人で資金調達を成功させた事例として、海外の音大へ進学するための学費を集めたり、絵本を出版するための資金を集めたりというような事例があり、個人での成功者も多数います。
本記事では、
・個人でクラウドファンディングを行う際の流れ
・個人でもクラウドファンディングを成功に導くコツ
について、しっかりと説明していきます。
クラウドファンディングには、大きく分けて購入型・寄付型・投資型の3つの型がありますが、本記事では、購入型の際の資金調達について説明していきます。
| 購入型 | 寄付型 | 投資型 |
案件数 | 多い | 多い | 少ない |
リターン | 商品やサービス | なし | 金銭 |
最低出資金額 | 1,000円程度~ | 案件による(1円~) | 10,000円程度~ |
1.個人でクラウドファンディングを行う際の全体の流れ
クラウドファンディングで資金調達を成功させるためには、流れをしっかりと理解し、事前の準備、事前の計画を綿密に行い、抜け漏れのないようにしておくことが肝心です。
大きな流れは以下の通りになっています。
●クラウドファンディングサイトに登録する前にすること
・やりたいことを明確にする
・目標金額を決める
・リターンを決める
・戦略を立てる
・どのサイトにするか候補を決める
●クラウドファンディングサイト登録後~公開前にすること
・クラウドファンディングサイトに登録する
・プロジェクトページを作成する
・公開初日~3日間で目標の30%を集められるように戦略を立てる
・プロジェクト開始前に支援者に声をかける
・公開の2~3日前にSNSなどで発信する
●プロジェクト公開後~募集終了までにすること
・プロジェクト公開したことをSNSなどで発信する
・開始5日間で目標金額の30%以上を集められるようにする
・ラストスパートをかける
●プロジェクト終了後にすること
・支援者へお礼をする
・支援者に向けて活動報告を随時する
・リターンを予定通りお届けする
1-1.クラウドファンディングサイトに登録する前にすること
・目標金額を決める
・リターンを決める
・戦略を立てる
・どのサイトにするか候補を決める
・SNSアカウントを作っておく
・やりたいことを明確にする
まず始めに、やりたいことを明確にします。
クラウドファンディングで資金調達を成功させるためには、はじめに計画と目標をしっかりと立てられるかによって、資金調達が成功するかどうかが決まると言っても過言ではありません。
やりたいことを紙に書きだしてみたり、人に相談してみたり、とにかくやりたいことを具体的に考えましょう!
クラウドファンディング大手サイトのCAMPFIREなどには、「プロジェクト準備カレンダー」という非常に便利なツールがあるので、しっかりと活用していきましょう!
CAMPFIREプロジェクト準備カレンダー:CAMPFIREより引用
最も避けなければならないことは、「資金調達することが目的」となってしまうことです。
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資金調達はあくまで「手段」であり、肝心なのは、集めた資金を活用して何を行うかを明確にしておくことです。
・目標金額を決める
クラウドファンディングで集める目標金額を設定しましょう!
目標金額の決め方は下記を参考にしてみてください。
サイトの利用料、手数料、リターン費用について、しっかり考慮しておきましょう。
クラウドファンディングサイトの多くは、プロジェクトが成功すると、達成金額から数%の手数料が差し引かれます。
これらの予算も加味して、目標金額を設定するようにしましょう!
・リターンを決める
リターンを何にするか決めましょう!
・リターンは5種類以上用意しておく
・リターンの予算を概算で算出しておく
プロジェクトに共感してもらえたとしても、支援者にとって魅力的なリターンが見つからなければ、実際に支援してもらうことは難しいです。
また、リターンを考える際、発送が必要なものであれば、たくさんの人からの支援が来ることを先に想定して、リターンの予算や工数を頭に入れておきましょう。
仮に、
・映画製作のクラウドファンディングで、
・リターンが映画前売り券
・支援者が100人だった場合、
→100人に発送することになります。
100人分の発送料、封筒代などかかりますので、余裕をもって計算しておきましょう。
・戦略を立てる
成功させるためには戦略を立てることが必要不可欠です。
なぜなら、プロジェクト公開してから5日以内で目標金額の20%が集まるかどうかで、成功するか失敗してしまうかの分かれ道だからです。
なので、なんとしてでも、5日以内に20%といわずに、”3日以内に目標金額の30%”を確実に集められるような行動ができるよう、しっかり計画しましょう。
そのためには、発信力・影響力が必要になってきます。
自分でSNSへ発信するのは勿論ですが、
周りに、
・SNSへの発信が得意な人
・フォロワーが大勢いて影響力のある人
・記事をシェアしてくれる人
がいたら、事前にその人たちに声をかけて協力してもらえるようにしておきましょう。
・どのサイトにするか候補を決める
各サイトページを確認して、自分のプロジェクトに合ったサイトを活用しましょう。
大手3社をピックアップしておきます。認知度も高く、PR効果も狙えるので参考にしてみてください。
CAMPFIRE手数料 12%
GoodMorning手数料 9%
※上記に加えて、別途5%の決済手数料がかかります。
※コミュニティ方式は、以前と変わらず合計で10%の手数料となります。
CAMPFIRE手数料改定のお知らせ参照
・READYFOR
サポートプランによって手数料が異なるので自分に合ったプランにしましょう。
・手数料12%(手数料7%+決済手数料5%)
・手数料17%(サポート料12%+決済手数料5%)
READYFOR New plan release参照
・SNSアカウントを作っておく
SNSアカウントを持っていない人、または個人のSNSとは別で作りたい人は、この段階でアカウントを作っておきましょう!
幅広く発信するため、最低3つは作っておきましょう。
・Facebook
・Twitter
・インスタグラム
1-2.クラウドファンディングサイト登録後~公開前にすること
・プロジェクトページを作成する
・公開初日~3日間で目標の30%を集められるように戦略を立てる
・プロジェクト開始前に支援者に声をかける
・公開の2~3日前にSNSなどで発信する
・クラウドファンディングサイトに登録する
目標設定が終われば、次はプロジェクトを掲載し資金調達を実施するサイトを決めましょう。
その際に次の2つのポイントを意識して、掲載サイトを選ぶといいでしょう。
・手数料の額
自分が立ち上げたいプロジェクトのジャンルが全く扱われていないサイトに掲載したとしても、支援者を集めることは難しくなります。
自分と似たようなプロジェクトを多く扱うサイトであれば、そのようなプロジェクトに興味のある支援者が多く集っているため、資金調達をうまく進めることができるでしょう。
また手数料もサイトごとに大きく異なるため、安いだけではなく、決済方法や支払いタイミングなども合わせて確認しておきましょう。
事前の相談は無料のところが多いので、相談してみるのもありです。
・プロジェクトページを作成する
利用サイトが決まったらサイト内でアカウントを作成し、プロジェクトページを作成しましょう。
プロジェクトページを作成すると、掲載するにあたり審査を受ける必要があります。
クラウドファンディングのサイトでは、運営会社ごとの利用規約等に基づき、プロジェクトの掲載可否を判断するため審査を行います。一旦申請すると、審査が終わるまではプロジェクトページの編集ができないため、注意しましょう。
審査に要する時間はおおよそ1週間程度で、審査の結果、確認や修正が必要な場合は差し戻されます。
審査事項が完全にクリアになるまでは複数回差し戻されることもあるため、公開希望日までに余裕を持って審査の申請を行うようにしましょう。
・公開初日~3日間で目標の30%を集められるように戦略を立てる
1-1.でも触れましたが、重要なのでここでも再確認します。
クラウドファンディングで成功をおさめるには、戦略が必須です。
・自分のプロジェクトと同じジャンルで成功をおさめたプロジェクトの研究する
・募集期間は35日前後にする
・リターンは5種類以上用意する
・プロジェクトの文章を想いが伝わるように書く
・友人へ直接PRや支援のお願いをする
・SNSでとにかく発信する
プロジェクト開始前から、事前に友人・知人に周知をしておきましょう。
事前に支援者を集めておくと、プロジェクトが成立する可能性が高まります。
クラウドファンディングでは、公開初日~5日間にあ集まる金額が成功に大きく左右します。
募集開始から既に金額がぐんぐんと集まっていれば、知らない人がそのプロジェクトを見たとしても、
「人気のあるプロジェクトなのかな?」
「他の人も支援していて人気なのかもしれない。」
という気持ちになり、そのような初見の人たちからも支援される可能性が高くなります。
そのため、公開初日~3日間で30%達成を死守するべく、
・支援してくれる友人
・支援額
をリスト作成しておきましょう。
公開直前に発信することで、リマインドにもなります。
1-3.プロジェクト公開後~募集終了までにすること
・開始5日間で目標金額の30%以上を集められるようにする
・ラストスパートをかける
プロジェクトの公開したことをSNSなどで発信する
プロジェクトページが公開できれば、SNSなどを駆使して募集を開始したことをPRしていきましょう。
特にクラウドファンディングの掲載において、初日により多くの支援者を集められることができるかが、プロジェクト成立に大きく左右します。
初日に多くの支援者を集めて、資金調達をスムーズに進めていきましょう。
・開始5日間で目標金額の30%以上を集められるようにする
1-2.で触れましたが、開始5日間で目標金額の30%以上を集められるかがとても肝心です。
10%達成、30%達成、などと区切りのタイミングで、支援者へのお礼とまだ募集している旨のメッセージもどんどん発信していきましょう。
・ラストスパートをかける
最終日までラストスパートをかけましょう!
開始5日間でたとえ30%集まらなくとも、落ち込む必要はありません。単純に諦めないということが肝心になってきます。
募集早々に支援してくれる人もいれば、募集期間終了間際に支援してくれる人もいます。
最後まで諦めずに、はしりきりましょう
1-4.プロジェクト終了後にすること
・支援者に向けて活動報告を随時する
・リターンを予定通りお届けする
・支援者へお礼をする
プロジェクト終了まで支援してくれた人たちへ感謝の気持ちを込めて、一人一人にお礼を伝えましょう!
・支援者に向けて活動報告を随時する
無事、資金調達が成功したら、プロジェクトの活動報告を随時しましょう。
報告を確認することで、プロジェクト終了後も支援者は安心して進捗を見守ることができます。
・リターンを予定通りお届けする
リターンを予定通りお届けしましょう!
お届け予定日などお知らせしておくと、より丁寧です。
2.個人でクラウドファンディングを成功させ1,500万円以上集めた成功事例4選
具体的に、個人でクラウドファンディングを成功に導いた事例を見ていきましょう。
2-1.沖縄離島の急病患者を救うために医療用飛行機の購入資金で3,600万円を調達
掲載サイト:READY FOR
調達金額:36,291,000円
沖縄県全域の救急搬送体制を構築するために、医療用航空機1機の購入費用を集めるプロジェクトです。
沖縄県の人口のうち1割に当たる人が離島に住んでおり、もし何かが起きても救助ができないのが現状です。
これまで民間からの寄付により、救急ヘリを飛ばしていましたが、ヘリが安全に飛行できる距離は通常50キロほどといわれています。
遠方の離島は、沖縄本島から400キロも離れている場所もあり、離島で急病患者が発生しても出動できません。
そこで救助ヘリで救助に行けない離島地域の人々を救うために、医療用の飛行機の購入しよとプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトでは3,500万円の目標金額を設定に対し、支援者445人から36,291,000円を集めることができました。
2-2.ミオヤマザキがワンマンライブDVDの制作費のため3,900万円を調達
掲載サイト:CAMPFIRE
調達金額:39,015,428円
ミオヤマザキという4人組のロックバンドが、2020年1月に行った横浜アリーナでのワンマンライブの模様をDVDにするため、その制作費用を集めるプロジェクトです。
彼らの中でも過去最大規模のライブであり、当日来れない人もおり、DVDにしないのですか?という意見が全国ツアー中にあがりました。
ファンにその模様を撮影したDVDを届けたいという想いから、今回のプロジェクトを立ち上げるきっかけとなっています。
また支援してくれる人と一緒に、世の中に作品として残したいという強い想いもありました。
結果としてこのプロジェクトには、支援者2,259人から39,015,428円が集りました。
2-3.芥川賞作家がブックカフェを作るために1,800万円を調達
掲載サイト:MOTION GALLERY
調達金額:18,815,000円
芥川賞作家である柳美里氏が、世界で一番美しい場所をつくりたいと、福島県南相馬市にブックカフェを作るための費用を集めるプロジェクトです。
福島県南相馬市は、2011年の福島第一原子力発電所の事故の影響で約5年半も、人が住むことができませんでした。
起案者である柳氏は、立ち入り制限が解除されたタイミングで、神奈川県の自宅を売却し、福島県南相馬市に移住しました。
実は柳氏はこのプロジェクトがクラウドファンディング2回目です。前回のクラウドファンディングも成功し、2018年4月に本屋フルハウスをオープンさせています。
このフルハウスはとても人気なのですが、10人入るのがやっとのスペースです。そこでこの場所にブックカフェを増床し、街の交流の場にしたいと考えました。
この場所をきっかけに、戻ってこれた数少ない住民の間で新しく生まれたコミュニティを守り、どのような人が来ても快適な場所を作りたいとのことから、今回の追加プロジェクトが立ち上がりました。
結果としてこのプロジェクトには、支援者1,447人から18,815,000円が集まりました。
2-4.もう一度あの京急のカラーが見たいと、広告主になり1,600万円を調達
掲載サイト:READY FOR
調達金額:16,051,000円
鉄道ファンである起案者は、横須賀で育ち幼少期から学生まで京浜急行を毎日利用し、大好きであった「初代1,000形」を復活させるためのプロジェクトです。
実は京浜急行の初代1,000形は、香川県の高松琴平電気鉄道の下で、今でも活躍しています。
しかし京浜急行から譲渡された車両は、初代1,000形とは異なるカラーで走っています。
そこで起案者は京浜急行と高松琴平電気鉄道に、広告主の権利を買い取る形で、初代1,000形の全面ラッピングの許可をもらうことができました。
広告主の権利買い取りのための費用は、1,500万円で目標金額も同額に設定していましたが、結果として770人の支援者から16,051,000円が集りました。
3.資金調達だけじゃない新しい投資型クラウドファンディング
クラウドファンディングは資金調達の手段だけではありません。
投資型のクラウドファンディングは、事業者への貸付、株式の購入などにより発生した利益を投資家に分配し、利益を得る投資方法です。
クラウドファンディングは、寄付型と購入型が有名ですが、最近では投資の手段として活用することに注目が集っています。
3-1.2020年人気沸騰中「不動産投資型クラウドファンディング」
投資型クラウドファンディングの中でも、投資対象を不動産に特化したクラウドファンディングです。
投資家から資金を集め、集めたお金で不動産を購入・運営し、そこから得られた利益を投資家に分配していきます。
よく似た仕組みとして、証券会社などで購入できるREIT(不動産投資信託)がありますが、中身は大きく異なります。
不動産投資型クラウドファンディングの最大の特徴として、投資対象となる物件が選べることが挙げられます。
一方REITの場合は、投資対象となる物件は投資のプロが選定するため、投資家が物件を選ぶことができません。
つまり不動産投資型クラウドファンディングは、現物の不動産投資にとても近い投資手法を用いることができるといえます。
さらに現物の不動産投資と異なる点として、1万円前後から投資可能であることや、不動産を管理する上で発生するコストなどは不要です。
不動産投資型クラウドファンディングは、REITと現物の不動産投資の良い部分を掛け合わせた投資手法といえるでしょう。
3-2.未上場のベンチャー企業に投資ができる「株式投資型クラウドファンディング」
私達が購入可能な株式は、基本的に証券会社を通じて上場企業の株しか購入することができません。
つまり設立間もない未上場のベンチャー企業や、スタートアップ企業に投資をすることができないのです。
ところが2015年に金融商品取引法の一部が法改正され、株式投資型のクラウドファンディングを活用し、未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業の株を購入することができるようになりました。
しかし株式投資型クラウドファンディングには、資金調達する企業は1年間に1億円未満、投資家側は1年間に50万円までしか投資できない制限が設けられています。
株式投資型クラウドファンディングは、未上場の株式を購入し、上場することができれば大きなリターンをもたらしてくれます。
ところが企業が上場するまでには、業績を伸ばしつつ様々な審査を経なければならず、とても時間がかかってしまうのです。
最悪の場合は、上場できずに倒産してしまう可能性もあります。
株式投資型クラウドファンディングは、投資した企業が上場できればとても大きなリターンをえることができますが、上場できなければリターンは0となってしまいます。
3-3.高利回り案件が多い「融資型クラウドファンディング」
融資型クラウドファンディングは、応援したい事業主やファンドに対してお金を貸付け、実績や業績に応じてリターンを得ることができるクラウドファンディングです。
最低投資可能額も1万円前後からの案件も多く、期待できる利回りは8%の高利回り案件もあります。
他の投資型クラウドファンディングと異なり、投資した金額は全額償還されることを予定しています。
しかし必ず償還できるという保証はありませんので、リスクは他の投資と比較しても同程度あるといえるでしょう。
まとめ
これまでの資金調達の手段は、友人知人や銀行からの借入れに限られており、新たな商品やサービスを生み出す障壁となっていました。
ところがクラウドファンディングを活用することで、個人でも1,500万円以上の資金調達をすることが容易になってきました。
しかし個人がクラウドファンディングで資金調達するためには、プロジェクトの目的を明確にすることやPR活動に力を入れなければ、目標金額を達成することができません。
まずは自分が資金調達する目的をしっかり考え、多くの人に共感を持ってもらえるようなプロジェクトにしていきましょう
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