クラウドファンディングは、今では一般的な資金調達方法として認められてきました。
しかし、すべてのプロジェクトが目標額を集められているわけではありません。
「日本でのクラウドファンディングの平均的な成功率は30%」
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日本でのクラウドファンディングの平均的な成功率は30%と言われています。
目標額を大きく上回る支援を受けるプロジェクトもあれば、全く集まらないプロジェクトもあります。
そこでこの記事では、
- クラウドファンディングでの成功例
- プロジェクト成功のためのポイント
について解説していきます。
1.クラウドファンディングでの成功例
クラウドファンディングでの成功例を5つ紹介します。
どれも話題になったものなので、あなたも聞いたことがあるプロジェクトがあるのではないでしょうか。
1-1.片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援
第13回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した「この世界の片隅に」を原作としたアニメ映画化のためのクラウドファンディングです。
戦時中の日常がテーマの作品で、専門家から見てヒットする作品とは思われず、なかなかスポンサーがつきませんでした。
しかし、監督は「良い映画」という自信があり、クラウドファンディングを実施することになりました。
その結果、開始から8日で目標2,000万円を達成。
最終的には3,374名のサポーターから3,912万1,920円を集めて映画化は実現しました。この人数は当時では最多のサポーター数です。
そして、映画は2016年11月12日から公開され、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しました。
1-2.キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!
芸人のキングコング西野さんのクラウドファンディングです。
もともと制作に4年半かけた絵本「えんとつ町のプペル」のプロモーションとして個展はする予定でした。
そこに、サンプルとしてギャラリーのスタッフが作った光る絵を見て、すべての絵を光らせようと考えます。ただ、その制作には多額の費用がかかります。
さらに西野さんは個展の入場料を無料にしたいという想いもありました。
そこで多くの方から協力を得られるクラウドファンディングを立ち上げられます。
結果、目標額180万円に対して4,637万3,152円集まり、支援者数は6,257人と目標を大きく上回るものとなりました。
1-3.HUIS REMOTE CONTROLLER(ハウス リモート コントローラー)
ソニーが新製品開発のためにクラウドファンディングを利用したプロジェクトです。
テレビやエアコン、ライトなど、家にはたくさんのリモコンがあります。
その中でも使っているボタンはわずかでしょう。
HUIS REMOTE CONTROLLER(HUIS)は、複数のリモコンから必要なボタンだけを1つにまとめます。
そのようなコンセプトで開発するためにクラウドファンディングが行われた結果、2,435万円集まり、製品化にも成功しました。
1-4.自転車+バイク=glafitバイク スマートな折り畳み式電動ハイブリッドバイク
技術の集大成として開発に挑み、そのチャレンジを発信するという目的で行われたクラウドファンディングです。
glafitバイクは「人々の移動をもっと便利で、快適で、楽しいものにする」というコンセプトでつくられた自転車機能と電動バイク機能を併せ持ったハイブリッドバイクです。
地元和歌山の地域ぐるみの後押しを受けるだけでなく、「地方企業が頑張っている」と多くのユーザーからの共感も生まれました。
その結果、当時のクラウドファンディングでは国内最高額となる1億2,800万4,810円を集められました。
1-5.モノづくりが、変わる。5万円台のレーザー加工機 FABOOL
59,800円と個人でも手の届くレーザー加工機の開発のためにクラウドファンディングに挑戦されました。
もともとSmart Laser Miniという家庭用レーザー加工機からさらにユーザー層を拡げ、デザイン・機能性をリニューアルすることが目的でした。
「レーザーカッター」という非常にマニアックな製品ですが、1,036人もの支援者を集め、支援総額は6,011万5,200円になりました。
クラウドファンディング終了後も購入したかったという問い合わせも届き、今では一般販売もされています。
2.成功者・成功したプロジェクトに共通すること
ここまでクラウドファンディングの成功例を紹介しました。
1つ1つプロジェクトは異なりますが、共通していることもあります。
それが、次の3つです。
成功している人・プロジェクトに共通すること
・熱意があること
・新しいアイデアであること
・シンプルであること
したがって、クラウドファンディングの成功にはこれらが欠かせないといえるでしょう。
2-1.熱意があること
プロジェクトの主催者には「絶対に実現する」という熱意があります。
そして、「プロジェクト成功が自分だけでなく多くの人のためになる」という確信を持っています。
クラウドファンディングでは、通常のサービス・商品のように実物を確認できません。企画段階・開発段階のものがほとんどです。
つまり、支援者はクラウドファンディングの企画内容だけでお金を出しています。
支援者にとっては大きなリスクです。
そのリスクを受け入れてもいいと支援者に思ってもらうには主催者の熱意は欠かせません。
成功したプロジェクトはどれもが「自分のため」ではなく「誰かのため」に向けられた熱意であることもポイントです。
2-2.新しいアイデアであること
2つ目は新しいアイデアであることです。
ハイブリッドバイクも家庭用レーザー加工機も、当時は市場で探しても見つかりませんでした。
そして、クラウドファンディングでしか手に入らない限定感と、いち早く手に入れたい気持ちから多くの支援を得られます。
既存のアイデアに近いものでクラウドファンディングをしても、支援者を集めることは難しいでしょう。
2-3.シンプルであること
3つ目はシンプルであることです。
クラウドファンディングのプロジェクトについてユーザーに伝える方法は文章と写真、動画のみです。
そのため、コンセプトが複雑ものはユーザーに伝わりません。
この記事で紹介したプロジェクトも
・映画をつくりたい
・個展を開きたい
・リモコンを1つにまとめるリモコンをつくりたい
・ハイブリッドバイクをつくりたい
・家庭用レーザー加工機をつくりたい
とわかりやすいものです。
プロジェクト自体がシンプルだからこそ、主催者の想いやプロジェクトのストーリーにも共感しやすく、支援者を集められます。
3.成功するために押さえておくべきポイント
最後に、クラウドファンディング成功のために押さえておくべきポイントを8つ紹介します。
(1)熱意を持って情報を発信する
(2)計画は具体的に記載する
(3)支援者からの共感を得る
(4)プロジェクト開始前にリサーチを入念にする
(5)支援者リストを作成して直接声をかける
(6)支援者にとって魅力的なリターンを設定する
(7)プロジェクト開始5日間でスタートダッシュをかける
(8)終了時間まで絶対に諦めない
多いですが、1つ1つ丁寧に取り組むことが成功への近道です。
3-1.熱意が込められた情報発信
熱意やプロジェクトへの想いを、より多くの人に知ってもらうため情報発信が重要です。
多くの支援者を集めて実現したいプロジェクトですから、プロジェクトに関するエピソードやメンバーのこと、想いなどプロジェクトページにおさまるものではないでしょう。
クラウドファンディングサービスには、「活動レポート」や「新着情報」といったユーザーに情報発信する場が用意されています。
サービス上だけでなく、SNSなどでも積極的な情報発信が大切です。
クラウドファンディングのサービスページには訪れたことがない方にも、あなたの発信を届けることができます。
熱意や想いのこもった情報をより多くの人に発信していきましょう。
3-2.計画は具体的に記載する
プロジェクトの計画は具体的に記載しましょう。
クラウドファンディングで資金調達するプロジェクトは、まだ完成していないものです。
未完成の段階でも、プロジェクトの計画を具体的に記載することで、ユーザーの不安を払拭します。
製品の完成・企画の実現のためのサポートとしてユーザーはお金を出します。
そのため、ユーザーはサポートする前に
・本当にプロジェクトページどおりの製品が完成するのか
・スケジュールはどのようになっているのか
・支援したお金は何に使われるのか
ということが気になります。
そこでプロジェクトの計画を具体的に記載することで、ユーザーの不安を払拭し、自分の出したお金が何に使われるのかが明確になっていれば、支援者も気持ちよくお金を出せます。
プロジェクトの計画は具体的に記載しましょう。
3-3.支援者からの共感を得る
支援者からの共感を得て、ファンを増やしましょう。
支援者から共感を得られれば、あなたの代わりに宣伝してくれます。
支援者が周りの友人にも紹介してくれることで、あなただけでは届けることができなかった層にも伝わります。
ユーザーから支援を受けて終わりではなく、さらに、支援者もプロジェクトを紹介する側に回ってもらうためにも共感を得ることは大切です。
3-4.プロジェクト開始前にリサーチを入念にする
プロジェクトを開始する前に、リサーチを念入りにしましょう。
思いつきでプロジェクトを開始しても、まず成功しません。
また、あなたにどれだけ熱意があっても、ユーザーに求められるものでなければ支援は集まらないからです。
そのため、プロジェクトを始める前には、事前に入念なリサーチをしてください。
たとえば下記のような項目です。
・自分のアイデアと近いコンセプトのものが既に出ていないか
・自分のアイデアを求める人は本当にいるのか
・似たプロジェクトの結果
・自分が支援を募りたいユーザーはクラウドファンディングを利用してくれそうか
他のプロジェクトを調べることで、成功させるために必要なこと、やってはいけないことが見えてきます。
入念にリサーチを重ね、成功の確信を持って始めることをおすすめします。
3-5.支援者リストを作成して直接声をかける
支援者リストを作成して直接声をかけましょう。
プロジェクトを始める前に、実際に支援してくれそうな方たちをリストアップしておきます。
事前に「こういうプロジェクトをしようと思っている。」と話して、開始したタイミングで直接声をかけます。 共感してもらえていれば、すぐに支援が集まることでしょう。
また、もしプロジェクト開始前に話したときに反応がいまいちだったときには、プロジェクト内容を再考したほうがいいです。
そのままプロジェクトを開始しても思ったような支援が集まらない可能性が高いです。
支援者リストを作成して、直接意見を聞いてみましょう。
3-6.支援者にとって魅力的なリターンを設定する
支援者にとって魅力的なリターンを設定しましょう。
支援者はプロジェクトへの応援の気持ちだけでなく、リターン(お返し)に魅力を感じ、お金を出すことがほとんどです。
どれだけプロジェクトに共感できたとしても、そのリターンが支援者に響かなければ、支援されません。
そのため、プロジェクト成功のためには、支援したいと思う方が魅力的に感じるリターンの設定が大切です。
たとえば「この世界の片隅に」の映画化プロジェクトでは、エンドロールに名前を掲載するリターンが設定されていました。
このリターンがあることで、ただお金を出すだけでなく、自身も映画の制作者の1人として参加した実感を持てます。
また、家庭用レーザー加工機のFABOOL開発プロジェクトでは、リターンは定価よりも安く手に入れられることでした。
このようにリターンの設定では、支援してくれそうな人物を想像し、その方が「お金を出したい。」と思えるようなものにします。
3-7.プロジェクト開始5日間で、目標金額の20%を集められるようにする
プロジェクト開始5日間で、目標金額の20%を集められるように動きましょう。
成功しているプロジェクトの9割に共通する点として、プロジェクト開始5日間で目標金額の20%を集めていることが挙げられます。
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プロジェクト開始直後から資金が集まっていると注目度が上がります。
さらに、お金が集まっていることがサイト上で見える化されるため、「実際に支援している人がいる」という信頼感や安心感がうまれ、他の人からも支援がされやすくなります。
そのため、プロジェクト開始でスタートダッシュをかけられるように、プロジェクト開始前から声掛けや宣伝をしておきましょう。
事前に関心を集めることがスタートダッシュを成功させる上で肝心です。
3-8.終了時間まで絶対に諦めない
最後のポイントは、最後まで絶対に諦めないことです。
残り5日で達成率が40%も達していなければ「失敗した。」と思われるかもしれません。
しかし実際には、最後の5日で50%以上の支援を集めているプロジェクトも多く存在しています。
期間限定の商品販売も開始直後と終了直前に売上のピークがくるように、クラウドファンディングも終了直前に支援のピークがきます。
「まだ時間があるから。」と支援を先延ばしにしていたユーザーが、最後に支援してくれるからです。
そこで、プロジェクトの終了が近づいたら、募集終了が近いことをクラウドファンディングサービス上だけでなく、あなたのSNSでも伝えるようにしましょう。
このとき、プロジェクトへの想いや支援者への感謝の気持ちも合わせて伝えることでユーザーの共感を得られて、支援につながりやすくなります。
決して最後まで諦めず、走り切りましょう。
まとめ
クラウドファンディングで成功させるためには、3章をよく読み、以下の8つを徹底しましょう。
(1)熱意を持って情報を発信する
(2)計画は具体的に記載する
(3)支援者からの共感を得る
(4)プロジェクト開始前にリサーチを入念にする
(5)支援者リストを作成して直接声をかける
(6)支援者にとって魅力的なリターンを設定する
(7)プロジェクト開始5日間でスタートダッシュをかける
(8)終了時間まで絶対に諦めない
以上の項目を一つ一つ丁寧に実施し、あなたの熱意や想いが伝われば、自然と支援者が集まり、プロジェクトは成功するでしょう。
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