どのような投資にも必ず元本割れリスクがあります。
それは、不動産投資クラウドファンディングも同様です。
ただ、実際に元本割れすることは稀です。その理由は、投資家に有利と言える「優先劣後構造」という仕組みが取り入れられているからです。
この記事では、基礎的な用語を解説したあと、具体的に元本割れが起きるケース、元本割れが稀な理由を説明します。
目次
説明に入る前に!基礎的な用語解説
最初に、不動産投資クラウドファンディングでの元本割れを説明するうえで必要になる3つの基本的な用語を解説します。
(1)元本割れ
(2)ファンド
(3)クラウドファンディング事業者
1-1.元本割れ
そもそも「元本」というのは不動産投資クラウドファンディングにおいて出資したお金のことです。
1万円投資した場合、その1万円が「元本」となります。そして、「元本割れ」というのは、運用後のお金が元本を下回ることです。
つまり、1万円出資したのに、最終的に手元に残るお金が9,000円となるような場合です。
1-2.ファンド
「ファンド」にはもともと、「基金」という意味があります。しかし、不動産投資クラウドファンディングにおいては、「不特定多数の投資家から集めた資金」または、「集めた資金を運用して利益を投資家に分配する仕組み」の意味で使われます。事業者がいくつもファンドをリリースしている場合は、「5号ファンド」などと数字をつけて呼ばれることもあります。
利用者側は、
・ファンドへ応募出資する
・ファンドを選ぶ
など、このように使われることが多いです。
1-3.クラウドファンディング事業者
まずクラウドファンディングとは、群衆を意味する「クラウド」と資金調達を意味する「ファンディング」を組み合わせた造語です。
一般的に、「インターネットを介して不特定多数の個人(群衆)から少額ずつ資金を調達する(ファンディング)」意味を持ちます。
そして、クラウドファンディング事業者とは、「そのクラウドファンディングを運営する事業者」の意味です。
クラウドファンディング事業者が、「投資対象の物件」と「物件に出資したい投資家」をつなぐ場を運営しています。
2.不動産投資クラウドファンディングで元本割れが起こるとしたらどんなケース?
基本的な用語はここまでの説明で理解いただけたかと思います。
それでは、実際に不動産投資クラウドファンディングで元本割れが起きるケースについて解説します。
主に以下の2つしかありません。
・不動産が倒壊するなどの直接的な不動産に対する被害(資産価値が下落・喪失)が原因となるケース
・クラウドファンディング事業者が倒産するなどの運営会社が原因となるケースです。
以下で詳しく説明していきます。
2-1.投資先の不動産が倒壊する(資産価値が下落・喪失する)
実際に不動産を所有するわけではないので実感がわきにくいですが、不動産投資クラウドファンディングも、不動産投資の一種です。
出資した物件を運用することで利益をあげ、最終的に売却まですることで配当を受け取ります。(キャピタル型の場合)そのため、投資先である不動産の資産価値が下落した場合、元本割れが起きる可能性があります。
たとえば、最近の話だと、価格が上昇していた「武蔵小杉」駅のタワーマンションの価格が下がったという話があります。2019年、記録的勢力に発達した「台風19号」の影響で、武蔵小杉駅一帯が冠水し、地下設備への浸水で大規模な停電が発生したり、マンションへの浸水が発生しました。この影響で、一部のマンションの価格が下落してしまいました。
参考:PR TIMES
このように、何らかの影響や経済市況の変化で「価格が下がる」という可能性も大いにあるため。
しまったりした場合です。
その代表的なケースが不動産の損壊・倒壊です。地震や台風、豪雨などによって建物の一部または全部が倒壊することになると資産価値が喪失します。そうなれば、運用はもちろん、売却して資金を取り戻すことは難しいです。
その結果、元本割れとなってしまいます。
2-2.クラウドファンディング事業者が倒産する
2つ目が、不動産投資クラウドファンディング事業者が倒産するケースです。
経営状況が悪化することで資金繰りが悪化し、元本が返ってこないこともあります。
倒産とはいかないまでも、資金の適切な管理がされていない場合に、トラブルに発展する可能性もあります。
そのため、案件に出資するときには、その案件を募集しているクラウドファンディング事業者の経営状況や会社としての信頼性を確認することも大切です。
3.結論!不動産投資クラウドファンディングは元本割れが起こるのは稀と言える
不動産投資クラウドファンディングで元本割れが起きるケースを解説してきましたが、実際に元本割れが起きることは稀です。
その理由は「優先劣後構造」があるからです。
3-1.その理由は投資家に有利な「優先劣後構造」があるから
不動産投資クラウドファンディングとは、不動産の証券化商品です。
この証券化商品を優先部分と劣後部分に分けて、優先部分を保有する投資家は、劣後部分を保有する投資家よりも優先的に配当などを受け取れる構造を「優先劣後構造」といいます。
これによって、損失が生じた場合も、最初に劣後部分が吸収することになっているため、優先部分を保有する投資家が損失を受けるリスクが小さくなります。
不動産投資クラウドファンディングで優先劣後構造を取り入れられている場合、投資家は優先部分の出資となるため、元本割れが起きにくいというわけです。
詳しくは次の章で解説します。
4.「優先劣後構造」によって元本割れリスク激減!
優先劣後構造によって元本割れリスクは激減します。
優先劣後構造では、優先部分に出資する「優先出資」と劣後部分に出資する「劣後出資」があります。
優先出資は、「利益の中から優先して配当を受け取る権利」を持つ出資です。
反対に、劣後出資は、「優先出資者に配当が配られたあとに、配当を受け取る権利」を持つ出資です。
運用によって損失が出た場合、劣後出資分が先に損失を負担することになっています。
つまり、
【利益は優先出資から劣後出資の順に分配され、損失は劣後出資から優先出資の順に負担するものです。】(枠で囲む部分)
それでは、優先劣後構造が取り入れられている不動産投資クラウドファンディングの仕組みを説明します。
4-1.事業者も投資家と一緒に投資する
物件への投資は、投資家だけでなく事業者も行います。
このとき、事業者は「劣後出資」です。
物件の運用によって利益を上げれば、事業者にとっても利益になります。
物件の運用が自社への利益につながるわけですので、確実に利益を出そうとします。
また、事業者が出資しているということで、その案件自体の信用度も高いでしょう。
4-2.ファンド出資総額の数割を事業者が、残りを投資家から集める
実際に事業者が出資するのは1割~3割程度です。
残りの資金を投資家から集めます。投資家は「優先出資」となります。
不動産投資クラウドファンディングのホームページで募集されているものは、この「残り」の部分の出資を募っています。
4-3.一定を超えなければ投資家の元本は被害を受けない
事業者が劣後出資者、投資家が優先出資者となるので、損失が劣後出資分を超えない限り、投資家の元本は被害を受けません。
不動産投資におけるリスクの大部分をクラウドファンディング事業者が負っているということになります。
そして、劣後出資割合が大きいほど、投資家のリスクは小さいです。
4-4.劣後出資20%だった場合のシミュレーション
それでは、劣後出資20%だった場合、投資家のリスクはどれくらい抑えられているかを考えてみましょう。
劣後出資が20%ということは、
・事業者の出資分が20%
・投資家の出資分が80%
です。
たとえば、3,000万円のファンドであれば、下表のようになります。
したがって、600万円までの損失は、クラウドファンディング事業者が負担するということです。
家賃15万円で運用している物件で、3ヶ月空室が発生した場合、単純計算で45万円の損失が当初の想定より発生します。
通常であれば、その損失は元本に影響を与えますが、優先劣後構造によって、劣後出資分から負担することになるので、投資家の元本に一切の負担はありません。
単純なシミュレーションではありますが、優先劣後構造の仕組みが投資家のリスクを大きく抑えていることがわかります。
5.パートナーズファンディング
・クライアント作成
まとめ
以上、不動産投資クラウドファンディングで元本割れが起きるケースと、そのケースが稀な理由について解説しました。
元本割れは出資した金額を下回ってしまうことで、不動産投資クラウドファンディングでもそのリスクはあります。
しかし、「優先劣後構造」という仕組みがあることで、投資家に元本割れが起きることは少ないです。
損失が出たとしても、まず、劣後出資者であるクラウドファンディング事業者がその損失を補うからです。
このような仕組みがあるため、ローリスク・ミドルリターンの投資を実現できています。
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