目次
クラウドファンディングの出資者には税金はかかる?
クラウドファンディングに出資すると、リターンの種類によって税金がかかります。投資型クラウドファンディングで得られた分配金や配当金は所得税法上は「雑所得」であり、所得税がかかります。非投資型クラウドファンディングではお金でのリターンが得られないため、所得税はかかりません。
(1)投資型クラウドファンディングの場合
投資型クラウドファンディングにより得られた分配金や配当金は、所得税法上は「雑所得」として扱われます。株式型クラウドファンディングに出資し、投資先の企業が上場して株を売却した場合は「譲渡所得」の扱いになります。
貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の場合
貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)とは投資家がクラウドファンディング事業者を通し、プロジェクト資金を調達したい人にお金を貸すことをいいます。プロジェクトが成功すれば、元金だけでなく利子がプラスされた分配金が戻ってきます。分配金は、所得税法上は「雑所得」として扱われます。
ファンド型クラウドファンディングの場合
ファンド型クラウドファンディングとは、プロジェクトがクラウドファンディング事業者を通し、投資家から出資金を集めるものをいいます。集めた出資金によりプロジェクトが成功して利益が出たら、配当金が投資家に分配されます。配当金は、「雑所得」として扱われます。
株式型クラウドファンディングの場合
株式型クラウドファンディングとは未上場企業の株を購入し、株主になることをいいます。株を購入した企業が成長すれば、投資家には配当金が支払われます。また、投資先の企業が上場すれば、株を売却して利益を得ることも。配当金は「雑所得」ですが、株の売却益は「譲渡所得」として扱われます。
不動産クラウドファンディングの場合
不動産クラウドファンディングとはクラウドファンディング事業者が投資家から資金を集め、不動産を所得・賃貸するものをいいます。不動産運用により得られた利益は投資家に再分配され、この分配金は「雑所得」として扱われます。
(2)非投資型クラウドファンディングの場合
非投資型クラウドファンディングへ出資すると、お金以外のモノでリターンを得られるか、まったくリターンがないかのいずれかです。クラウドファンディングによる所得はないため、税金もかかりません。寄付型クラウドファンディングでは、法人へ出資した場合なら寄附金控除を受けられます。
購入型クラウドファンディングの場合
購入型クラウドファンディングとは、商品開発などのプロジェクトに出資し、お金ではなく商品やサービスのリターンを得られるものをいいます。購入型クラウドファンディングは所得税法上はモノの購入と一緒とみなされるため、税金はかかりません。
寄付型クラウドファンディングの場合
寄付型クラウドファンディングとは出資者へのリターンが少ない、またはまったくないクラウドファンディングをいいます。所得税法上は寄付と同じ扱いになり、一定条件を満たしている団体・法人への出資だった場合は寄附金控除を受けられます。
クラウドファンディングで出資・寄付をしたら確定申告が必要
クラウドファンディングに出資や寄付をしたら、確定申告が必要になる場合があります。投資型クラウドファンディングに出資して得た分配金や配当金がほかの雑所得と合計して20万円以上の方や、株式型クラウドファンディングにより株の売却益が出た方は確定申告をしましょう。寄付型クラウドファンディングの寄付先によっては、確定申告で寄附金控除が受けられます。
そもそも確定申告が必要な人は?
確定申告は個人事業主など青色申告をしている人、寄附金控除や医療費控除を受けたい人、年収2,000万円以上の会社員は行う必要があります。そしてこれらには当てはまらない方であっても、雑所得が20万円以上ある方は確定申告が必要です。
確定申告のやり方
確定申告とは前年1月1日から12月31日までの所得について、2月15日から3月15日の期間に申告することをいいます。確定申告書を規定の書式に基づいて作成し、管轄の税務署に郵送や持参、インターネット(e-Tax)などで提出します。 確定申告書の提出時には運転免許証などの本人確認書類と、マイナンバーカードのコピーが必要。マイナンバーカードをお持ちでない方は、あらかじめマイナンバーが記載された住民票の写しを用意しておきましょう。会社員の方は源泉徴収票を確認しながら、収入と所得金額を「確定申告書A」に転記します。
投資型クラウドファンディングの分配金や配当金は雑所得
投資型クラウドファンディングにより得た分配金や配当金は、雑所得に分類されます。雑所得にはほかにも年金や副業、講演料と印税、FXなどの金融取引によって得た収入が含まれ、それらをすべて合算します。 雑所得にかかる所得税は、総合課税により決められます。総合課税とは給与所得と事業所得、不動産所得などと雑所得を合算し、所定の税率をかけて所得税額を算出します。累進課税方式が採用されており、所得の合計額が多いほど税率がアップ。最低は課税所得金額195万円以下で5%、最高は課税所得金額4,000万円以上超で45%です。 投資型クラウドファンディングの分配金や配当金は、投資者に支払われる際にはすでに源泉徴収されています。分配金や配当金の源泉徴収額は、所得税20%と復興特別所得税の0.42%を合計した20.42%をかけて算出されます。源泉徴収された所得以外の総所得にかかる所得税よりも源泉徴収額が多かった場合は、確定申告をすると還付金を受け取れます。
株式型クラウドファンディングで譲渡益が出た場合
株式型クラウドファンディングにより未上場企業の株を取得。その企業が上場してから株を売却し、利益を得た場合は確定申告が必要です。上場株式の売却益で生じる譲渡所得には、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。 もしも上場株とは別に株の売買をしており、損失が出ているのなら損益通算が可能に。株式の売却益と利子などに係る配当所得および利子所得、配当・収益の分配などの株に関連する利益は株の売却損と相殺でき、所得税を減らせます。そして損益通算をしても損失の方が大きい場合は、翌年から3年間は損失を繰越せ、株による所得を減らせます。
寄付型クラウドファンディングは寄付控除が受けられて節税に
寄付型クラウドファンディングでは、投資先のプロジェクトが学校法人や認定NPO法人などの一定条件を満たす法人・団体であれば控除を受けられます。 寄付型で受けられる控除は「寄付金控除(所得控除)」か「寄付金特別控除(税額控除)」のいずれかです。寄附金控除額は前年1月1日から12月31日までの寄付金合計額から2,000円を引いて算出し、所得金額から控除。寄付金合計の限度額は、所得金額の40%と定められています。 また、寄付金特別控除額は前年1月1日から12月31日までの寄付金合計額2,000円を引いた額の40%であり、所得税額から控除。寄付金合計の限度額は所得金額の40%で、控除額上限は所得税額の25%と定められています。 一つの目安として、年収4,000万円を超えないのであれば「寄付金特別控除(税額控除)」の方がお得になります。確定申告書に記入する際には「寄附金控除」の欄ではなく、「政党等寄附金等特別控除」の欄に記入しましょう。 加えて寄付先の法人・団体が住所地の都道府県や市町村から指定を受けていれば、住民税の控除も受けられます。寄付先の団体に問い合わせて確認してみましょう。
不動産クラウドファンディングを利用すると相続税が節税可能
任意組合型の不動産クラウドファンディングに投資すると、不動産を保有しているとみなされます。相続税は現金を相続した場合よりも、不動産を相続した場合の方が安くなります。 「任意組合型」とは、複数の投資家とクラウドファンディング業者が共同で事業を行うことをいいます。不動産クラウドファンディングにはもう一つ「匿名組合型」がありますが、こちらは投資家とクラウドファンディング業者が1対1で契約を結ぶ点が任意組合型とは異なります。 任意組合では複数の投資家が任意組合をつくり、クラウドファンディング事業者に業務執行を委任。事業者が「業務執行組合員」として、不動産に関する事業運営を行います。匿名組合型では投資家は不動産に関する重要事項についての決定権を持ちませんが、任意組合型では投資家も決定権を持ち、出資分に応じて不動産を登記します。 現金よりも不動産を保有する方が相続税を減らせますし、賃貸向けの不動産なら土地の評価額が下がる分、より相続税を抑えられます。任意組合型の不動産クラウドファンディングに出資すると「貸家建付地」を実質的に持つこととなるため、現金で相続するよりも相続税が節税できます。
クラウドファンディングの税金について正しく理解しておこう
クラウドファンディングに出資し、お金でリターンを得た場合は税金がかかります。会社員の方も、確定申告は忘れずにしておきましょう。寄付型クラウドファンディングの場合、寄付先によっては確定申告でお得になることがあります。
コメント