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海外のクラウドファンティングの特徴
海外には、Kickstarter(アメリカ)、RocketHub(アメリカ)などさまざまなクラウドファンティングがあります。ここでは、海外のクラウドファンティングの特徴や日本との違いを解説します。
消費者庁が発表した資料によると、2019年の日本国内における購入型クラウドファンディングの市場規模169億円、融資型のクラウドファンティング市場規模は1,152億円です。2017年に調査を開始して以来、市場規模は毎年増え続けています。一方、海外のクラウドファンティングの市場は、アメリカ最大の購入型(寄付型)クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で、2016年にはすでに2,567億円もの資金がサイト内で動いていました。日本の倍以上です。Kickstarterは2017年度は日本語版のサービスが始まり、利用者が一層増えました。
Kickstarterの参加人数は2020年まで約1,700万人です。日本のクラウドファンディングの場合、最大の支援者数を誇るクラウドファンティングサイト「CAMPFIR」でも、49万人ですから、桁が違います。参加人数や支援者人数は、そのまま集められる資金力に直結します。参加人数が多くさまざまな案件がサイト上にアップされれば、興味を持ってくれる人も増えて支援者も増加しやすくなります。支援者数が多くなれば、集まるお金も増えて資金を集めやすくなるでしょう。
2020年現在、日本のクラウドファンディング市場、最高額の資金を集めたのはモバイルプリンター「PrinCube(プリンキューブ)」です。前述した「CAMPFIRE」というサイトで、集めた金額は約3億円。支援者は2万人を超えました。しかし、同社は2019年にも同様のプロジェクトをアメリカの大手クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で行っており、そのときに集まった金額は約5億円です。つまり、アメリカの方がより大きな金額を集められました。これはやはり、知名度と支援者数の差があるからといえます。
海外のクラウドファンティングのメリット
ここでは、海外のクラウドファンディングを利用するメリットを紹介します。海外のクラウドファンディングを利用したい方は、ぜひ、参考にしてください。
出資者が多い
欧米、特にアメリカではクラウドファンディングで起業資金を集めることがすっかり定着しました。そのため、出資者に利益を還元しなくてもいい「寄付型クラウドファンディング」だけでなく、出資者に利益を還元する「投資型クラウドファンディング」も盛んです。投資家達も「新しい投資先」としてクラウドファンディングを利用しており、将来的に成長が期待できそうな案件ならば、多くの資金が集まるでしょう。
高額の費用を集められる可能性がある
「PrinCube(プリンキューブ)」以外にも、海外のクラウドファンディングは高額な資金を集めた案件が数多くあります。たとえば、アメリカのRocketHub(ロックハブ)という起業家向けのクラウドファンディングサイトでは、シューズメーカースピラ・フットウェアが49万ドルの資金調達に成功しています。投資家や支援者が魅力的と思えるプレゼンをすれば、多くの資金を集められる可能性があります。
日本からの参加者が少ない
「Kickstarter」のように日本語に対応しているアメリカのクラウドファンディングサイトもありますが、海外のクラウドファンディングサイトはほとんどが対応している言語が英語です。そのため、日本から参加するにはハードルが高く、まだまだ日本の企業や個人の参加者は少ないのが現状です。欧米は日本的な物を好む傾向がありますので、「和」を前面に押し出したプレゼンは注目を集めやすいでしょう。
海外のクラウドファンティングのデメリット
しかし、海外のクラウドファンティングにはデメリットもあります。今度は、デメリットを解説していきます。
高いプレゼン能力が要求される
海外のクラウドファンティングは支援者も多いですが参加者も日本とは比べものにならないほどたくさんいます。魅力が薄い企画はあっという間に埋もれてしまい、目標金額に遠く及ばない額しか集まらないことも珍しくありません。注目を集めるために高いプレゼン能力が必要です。もちろん、企画自体も「資金を出してもいい」と相手に思わせる説得力であることが大切になります。それを英語で行うのですから、かなりハードルは高めです。
言葉の壁がある
前述したように、海外のクラウドファンティングサイトの言語はほとんどが「英語」です。「Kickstarter」は日本語に対応していますが、日本からの参加者がそのサイトに集中すればライバルも増えます。確実に資金を集めたいのならば、お金を払っても正確な英訳をしてくれる方に依頼し、英語のプレゼンを作ってもらいましょう。文法が間違っていれば、最後までプレゼンを読んですらもらえません。
リターンで物品を送る場合送料がかかる
購入型クラウドファンディングサイトの場合は、リターンに品物を送ることがあります。海外のクラウドファンティングの支援者は世界中にいるので、全てに送るとなると送料がかかります。場合によってはリターンの品物より送料の方が高くなってしまうこともあるのです。リターンの品が大きかったり賞味期限がある物だったりすれば、さらに大変です。また、検疫の関係で長期間空港や港に足止めされる品もあり、届いたときには傷んでいた、というケースもあるでしょう。リターンの品選びにも注意を払う必要があります。
海外のクラウドファンティングはメリット・デメリットを把握して使おう
海外のクラウドファンティングはメリットも大きいですがデメリットもあります。寄付型・投資型どちらを利用するにしても高いプレゼン能力と英語力が必要です。逆に、それをクリアできたら企画次第で大金を集めることも可能です。じっくりと戦略を練って参加しましょう。
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