未経験で不動産業界に飛び込んだけれど
専門的な言葉ばかりで理解できない。
なにがあるかわからないからとりあえず将来のために宅建の勉強をしたい。
テキストをいざ開いてみると普段目にしない固すぎる日本語…。
何言っているのかさっぱり。
今回はまず、分かったようで分かりにくい”手付金”に関わる法律上の取り決めを
忙しいあなたに代わって短い時間で理解できるようまとめました。
目次
1.手付金とは
手付金等とは、代金の全部または一部として授受される金銭および手付金その他名義をもって授受される金銭で代金に充当されるものであって、契約の締結日以後、当該宅地建物の引渡し前に支払われるものをいう。
(公益財団法人 不動産流通推進センター 「宅地建物取引士 講習テキスト」引用)
何のことかさっぱり…。もっと簡単に説明してほしい!
つまり!
手付金とは、土地や一戸建て・マンションなどの売買契約を結んだとき、頭金より前に支払う金銭のこと。
契約が成立したとき支払われたお金は購入代金にあてられるということ。
2. 手付金の種類
手付金には、主に3つの役割があります。
実際の取引において手付金がどの役割を持つかは、契約の当事者である売主・買主の意思で決定されます。
また、明確な取り決めがない場合は、「解約手付」と推定することに民法上決められています。
1-1. 証約手付
契約の成立を証明するための役割です。
わかりやすいですね!
1-2. 解約手付
売買締結後、この手付を放棄することで契約を解除できる権利としての役割です。
例えばこういう時!
もっといい物件が見つかったので契約をキャンセルしたい
もっと高値で購入してくれる人が見つかったので契約をキャンセルしたい
このような一方的な理由で契約解除する場合、借主・売主どちらにとっても不利益となります。
どちらの利益も守る為、以下の条件で解約する事ができます。
支払った手付金を放棄する
これを「手付流し」といいます。
支払われた手付金を返還、更に手付金同額を買主に支払う
これを「手付倍返し」といいます。
ただし効力は手付解除期限内、もしくは引き渡しなど履行の着手までのどちらかとなっていますので、契約の際、具体な日付を確認しておきましょう。
特に履行の着手の範囲について売主・買主の認識のずれでトラブルとなることがありますので、事前に確認しておきましょう。
1-3. 違約手付
買主が代金を支払わない、売主が引き渡しを行わないなどの債務を履行しない場合、没収される違約金としての役割です。
契約に対して、しっかりと責務を果たしてもらう目的があります。
買主が違約した時は手付金を没収され、売主が違約したときは手付金倍額を支払うことになっています。
2. 手付金を知る上で抑えるべきポイント
手付金には法律上いくつか制限が設けられています。
不動産売買のやり取りは以下4つのパターンがあります。
売主 | 買主 | |
パターン① | 宅建業者 | 宅建業者ではない |
パターン② | 宅建業者 | 宅建業者 |
パターン③ | 宅建業者ではない | 宅建業者 |
パターン④ | 宅建業者ではない | 宅建業者ではない |
まず、大前提として手付の制限が設定されるのは上記のうち
パターン①売主:宅建業者 買主:宅建業者でない 場合のみです。
2-1. 手付金支払いの上限
宅建業者が売主の場合、手付金の受取上限は代金の額の10分の2までとされています。
10分の2を超える部分は、無効となります。
2-2.どんなときでも手付金は解約手付としての役割をもつ
先ほど手付金の役割3つを解説しましたが、契約書に手付金の種類が記入されていないとき、もしくは手付金の種類について合意がないときでも手付金は「解約手付」であると推定されると民法で決まっています。
さらにパターン①売主:宅建業者 買主:宅建業者ではない 時、手付解約期日を設けることは禁じられています。
この場合解約の期限は売主・買主のどちらかが履行に着手するまでです。
3. 手付金の保全措置について
手付金には一定の条件で保全措置を講じることが義務付けられています。
保全措置とは売買契約後、不動産会社の倒産によって引き渡しが実行されないにも関わらず手付金が返金されないリスクから買主を保護するための措置です。
ですのでこの保全措置についても先ほど解説した手付の制限と同じくパターン①売主:宅建業者 買主:宅建業者でない場合のみ適用されます。他の場合には適用されないので覚えておきましょう。
3-1. 保全の対象
以下の条件を満たすとき、この手付金の保全措置が適用されます。
条件に満たない場合は、手付金の保全措置は講じられないので覚えておきましょう。
【未完成物件の時】
物件価格の5%を超える場合 or 手付金の支払いが1000万円を超える場合
【完成物件の時】
物件価格の10%を超える場合 or 手付金の支払いが1,000万円を超える場合
なお、中間金等も含め、契約から引き渡しまでに支払われてた金銭すべて保全の対象となります。
例えば、物件価格 3000万円(完成物件)を手付金200万円で契約したとします。
この時点では物件価格の10%以下なので保全措置の対象外です。
しかしさらに中間金として200万円支払った場合、手付金と中間金の合計は400万となります。
この時、支払額が物件価格の10%である300万を超えるので保全措置の対象となります。
では次に具体的にどのように保全されるか説明していきます。
3-2. 保全措置の方法
保全措置の方法について以下のように物件が未完成の場合と完成している場合で違いがあります。
【未完成物件の時】
①指定保証機関による保証・銀行等による保証
②保険事業者による保証
【完成物件の場合】
①指定保証機関による保証・銀行等による保証
②保険業者による保証
③指定保管機関による保管
保全措置が講じられるとき保証を受ける機関・事業所から「保証書」が発行されますので保管をしておきましょう。
まとめ
手付金は主に「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3つの役割がある。
一定の条件で、一般の買主保護の目的で保全措置が講じられる。
保全措置の条件は
①売主:宅建業者 買主:宅建業者ではない一般消費者 間の取引の場合、かつ
【未完成物件の時】
物件価格の5%を超える場合 or 手付金の支払いが1000万円を超える場合
【完成物件の時】
物件価格の10%を超える場合 or 手付金の支払いが1,000万円を超える場合
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