しかし、頭金は必須という訳ではありません。
実際に、住宅購入者の約二割は頭金なしのフルローンを選択しているのも事実です。
場合によっては頭金なしの方がお得になることも。頭金のメリットを知り、フルローンの検討も含め、あなたに合った頭金の金額設定をしていきましょう。
目次
1. 実際みんないくら払っているの?気になる頭金の相場と支払のタイミング
長い住宅ローンと付き合っていくマンション購入。
お金のことは聞きづらいけれどみんなどれくらい実際支払っているのか気になるもの。
そんなあなたのためにフラット35利用調査をもとに気になるマンション購入時の頭金相場を見ていきましょう。
1-1. 頭金相場はマンション価格の1~2割
ずばり、頭金相場はマンション価格の1~2割です。
具体的には、
新築マンションの頭金相場は約600~800万円
中古マンションの頭金相場は約230~400万円 となっています。
参照:2019年度フラット35マンション融資利用者の主要指標
しかし、実際にはマンション購入まで上記金額より数百万多く支払いが必要です。
なぜなら、マンション購入時に必要な資金は頭金だけではないからです。
仲介手数料(中古マンションの場合)、売買契約書に貼る印紙代、所有権保存登記や所有権移転登記、抵当権設定登記、司法書士報酬などの登記費用、金融機関事務手数料(借入手数料)、住宅ローン保証料、火災保険料、不動産取得税などなど、たくさんの諸費用が発生します。
これら諸費用の総額は新築マンションで購入物件の約4%、中古マンションでは約7%必要と言われています。
したがって、頭金を含めたマンション購入時に必要となる諸費用の総額相場は
新築マンションの場合:約700~950万円
中古マンションの場合:約390~640万円程と考えられます。
”頭金”という言葉だけに惑わされず、諸費用も踏まえた余裕のある資金計画が必要です。
1-2. 頭金支払いのタイミングは契約から物件引渡し日までの間
頭金を支払うタイミングは、一般的に住宅ローンの契約から融資が実行される物件引渡し日までの間です。
頭金の支払いは最大3回に分けて支払いが発生する場合があります。
物件申込時に「申込証拠金」として、契約時に「手付金」としても頭金から支払いが発生します。それぞれの支払相場は以下のようになります。
〈申込時〉 1. 申込証拠金 金額:約1~10万円
〈契約時〉 2. 手付金 金額:物件価格の約5~10%
〈引き渡しまで〉 3. 頭金残高 金額:頭金 ー(申込証拠金+手付金)
「申込証拠金」と「手付金」は頭金として充当されるため頭金と別途準備する必要はありませんので安心してください。
※申込証拠金は本来返金されるものですが、便宜上、頭金として充当されるのが一般的です。
2. 頭金を多く払うメリット
多くの人がマンション購入の際に、頭金を支払うのは、メリットがあるからです。それでは具体的に頭金のメリットを解説していきます。
頭金を支払うメリットは大きく以下3つです。
(1)総支払額、毎月のローン返済額が減る
(2)金融機関から信用を得やすく審査に通りやすい
(3)物件の選択肢が増える
2-1. 総支払額・毎月のローン返済額が減る
頭金を払えば払うだけ、住宅ローンの借入額も少なくなるので金利も低くなります。
フラット35では物件価格に対して10%以上の頭金を支払う場合、金利が低くなります。
参照:ずっと固定金利の安心【フラット35】金利情報
では、実際に頭金が購入マンション価格の10%以上と10%未満でどれくらい支払額に差が出るかを具体的に見てみましょう。
■シュミレーション条件
購入マンションの価格:5000万円
返済期間:35年
Aさん頭金:500万円 金利1.29%
Bさん頭金:400万円 金利1.55%
※金利は2020年1月時点のフラット35の金利情報を参考に設定しています。
毎月のローン返済額は下表のようになります。
頭金 | 毎月のローン返済額 | 支払総額(頭金を含む) |
500万円 | 13.3万円 | 6,094万円 |
400万円 | 14.2万円 | 6,363万円 |
このように、頭金100万円の差で月総支払額に約270万もの差が生まれます。
2-2. 金融機関から信用を得やすく審査に通りやすい
住宅ローンの審査をするとき、金融機関が気にするのは、その人が本当に返済できるかどうかです。頭金の支払によって借入額が少なくなると住宅ローンの審査は有利になります。
金融機関は、計画的にお金を返済する見込みがある人には積極的に融資しようと考えますので、審査にも通りやすくなります。
2-3. 物件の選択肢が増える
頭金を多く払えば、物件の選択肢を増やすことができます。
一般的に、マンションの購入価格は頭金+住宅ローン借入額です。
立地、周辺環境、間取りすべて理想通りのマンションを選びたいところです。しかし、そういった良い条件の物件は需要も高く、価格も高いものばかりです。物件価格がローン借入額を超えてしまっては、購入はできません。
頭金を多く払えば、借入可能額に縛られずにマンションを選べます。
つまり、頭金を準備すればするだけ、妥協せず、理想の条件に近いマンションを購入できるということです。
その結果、住み始めてからの満足度も高く、マンション購入後の後悔も味わずにすむでしょう。
3. 頭金を抑えるメリット
ここまで頭金を払うメリットを説明してきました。そのため、「頭金は多く支払った方がいい」と思われているかもしれません。しかし、最近は住宅ローンの低金利を背景に頭金なしで購入する人も増加傾向なのも事実です。
では、具体的にフルローンを含め、頭金を抑えるとどんなメリットがあるのでしょうか。
大きく以下3つのメリットがあります。
(1)資金準備期間がかからない
(2)手元に万が一の生活資金を確保しておける
(3)住宅ローン控除が大きくなる可能性がある
3-1. 資金準備期間がかからない
特にフルローンの場合には、資金準備の期間がかかりません。審査に通れば、マンションを購入したいと思ったらすぐに、購入できます。希望の条件に合致する理想のマンションに出会った時、その機会を逃すことなく手に入れられます。
さらに、資金準備期間がかからないメリットはそれだけではありません。
もし今、賃貸住宅に住んでいるのであれば、頭金を貯める間にかかる家賃も節約できます。また、頭金をためている間に金利が高くなったり、物件価格が上がったりするリスクも避けられます。
例えば、頭金500万円貯めるために、家賃10万円の賃貸住宅に住みながら5年かかったとします。その間に金利が1%でも上がったら、返済額は500万円以上増えてしまうので、頭金なしで5年前に購入したときよりも返済額が大きくなってしまいます。さらに、5年間の家賃負担も考えれば、金銭的には損してしまいます。
したがって、金利の状況や家賃負担額、住宅ローン控除などの優遇措置を踏まえて、どのくらいの金額・期間で準備するかを決めることが大切です。
3-2. 手元に万が一の生活資金を確保しておける
頭金分の資金を手元に現金を残すことができます。万が一のことがあったときに、生活資金を確保しておける安心感は大きなメリットです。
頭金を支払うことで、毎月のローン返済額は小さくなるのは紛れもない事実です。
しかし、手元にある程度の生活資金を残しておかなければ、突然病気になったり、収入が減ったり、車の購入・買い替えなど、まとまったお金が必要になった時、生活が立ち行かなくなってしまいます。
では具体的にいくら手元に確保しておけばよいのでしょうか。
手元に必要な生活資金の目安は、生活費の6ヶ月分ほどと言われています。自営業や経営者のように、収入に波が発生しやすい仕事の場合は1年分ほどあると安心です。
総務省の発表している統計データによると、二人以上世帯の月支出平均は約28万円です。生活資金として170万円~340万円を手元に残しておく計算になります。
参照:総務省 家計調査報告 2.消費支出とその内訳
また、子どもがいる、または、将来的に子どもを考えている場合には教育費も考慮する必要があります。生活費とは別に、必要な教育費も1年分は手元に残しておくと安心でしょう。
3-3.住宅ローン控除が大きくなる可能性がある
借入金額が大きいほうが、住宅ローン控除が大きくなる可能性があります。
住宅ローン控除とは、金利負担を軽減する制度です。
住宅ローンを利用してマイホームを取得したときに、一定の要件もと所得税からの控除を受けられます。なお、所得税から控除しきれない場合には、住民税からも控除されることになっています。
住宅ローン控除額は、年末時点での「住宅ローン残高」または「住宅の取得対価」のいずれか少ないほうに1%かけた金額、もしくは、控除額の上限 年間40万円(住宅ローン残高4,000万円)です。
参照:国税庁 住宅借入金等特別控除 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合
そのため、マンション価格が4,000万円未満となる場合には、頭金が少ない方が住宅ローン控除は大きくなる可能性があります。
まとめ:最低限抑えたい!あなたに合った頭金の金額の決め方
頭金の相場が物件価格の1割~2割だからといって、無理に準備した結果、その後の生活で困窮してしまっては元も子もありません。相場や平均はあくまで参考にとどめ、あなたの生活や事情にあった金額とすることが大切です。
頭金額設定の際には以下2つは必ず抑え、資金計画を立てましょう。
1. マンション購入価格に対して4%~7%諸費用分を別途 頭金に上乗せして試算
2. 生活資金を最低6か月分確保
現在の家賃負担・利息・将来のライフイベントから総合的に購入のタイミングをはかり、総合的に頭金としていくら使えるか、または貯蓄していくかシュミレーションを立てましょう。
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